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Column 睡眠のおはなし

夜泣き・寝ぐずり解消!睡眠のための光環境”明るさ”

子どもの睡眠の発達・しくみ
睡眠のベース(環境・体内時計など)
夜泣き・寝ぐずり解消!睡眠のための光環境”明るさ”

夜泣き・寝ぐずり、質の良い睡眠をとるには、光環境(明るさ)を整えることがとても大事。

極端な場合ですが、夜の光によって昼夜逆転が起こったり、睡眠の質や健康を妨げてしまうこともあります。

今回は夜泣き・寝ぐずり解消、気持ちよく眠るための光整え方をお伝えします。

寝室は「真っ暗」でなければいけないの?

睡眠に適した環境の光条件を考える時、以下の2つの視点が大切になります。

①体内時計(メラトニンの分泌)への影響

…朝起きて夜眠る、活動と休息では体の働きが変わります。スイッチを切り替えや体内時計のリズムに合わせた生活・睡眠が健康の基盤になります。

②明るさに対しての心理的な不安感

…睡眠中は外への刺激への反応が鈍くなり無防備な状態になります。本能的に身を守ろうとして暗すぎると睡眠が浅くなる人もいます。

①体内時計(メラトニンの分泌)への影響

人間は太陽が昇っている日中活動し、太陽が沈むと睡眠に入る動物です。

この活動と睡眠で体の仕組みを切り替えるシグナルとなっているのが光(特にブルーライト)です。

本来、体が睡眠に入る時間に光の刺激が入ると、睡眠に入りにくくなったり、体の仕組み自体が混乱してしまいます。

②明るさに対しての心理的な不安感

寝る時の明るさについては、子育て中は特に子どもの様子が確認できず、「真っ暗は心配」という方も多いのではないでしょうか。

睡眠にとって心理的な要素は深く影響を及ぼします。

特に「不安」や「緊張」は安眠を妨げる大きな要素

ママパパが不安を感じて入眠すると

真っ暗で見えない

子どもが心配→夜中もこまめに確認

子どもを起こす

再度寝かしつけ

入眠の癖(夜中の頻回覚醒)がついてしまう

というループになることも。もちろん、ママパパの睡眠も浅く細切れになりやすいです。

つまり、安眠のためには、「真っ暗」にする必要はありません。

 

夜泣き、寝ぐずり、夜間覚醒を防ぐ光環境

  • 内時計を乱さず、メラトニンの分泌を妨げない
  • 暗くて不安にならない程度の明るさ
    を目指すのが正解!
北堂 真子, 2005,良質な睡眠のための環境づくり-就寝前のリラクゼーションと光の活用-,バイオメカニズム学会誌,2005 年 29 巻 4 号 p. 194-198

睡眠に良い光条件4つ

睡眠中の”明るさ”

真っ暗は、周囲の安全を確認しにくく緊張感が強くなる方がいます。

真っ暗が苦手な方、赤ちゃんの様子が分からないと不安な方は、明るさは体内時計を乱さずメラトニンの分泌を邪魔しない明るさまで明かるくしてもOKです!

<寝室の睡眠中の明るさの目安>

【照度】0.2lx

【環境の目安】満月の夜位

【感覚的な目安】物の色や詳細(表情)は分からないが、形は分かるくらい。

寝室の環境は満月の夜くらい暗く

寝室の環境は満月の夜くらいの暗さが〇

照明の色

人は昼に活動し栄養を摂り、夜に体を休める昼行性動物です。

活動する「昼間」を判断するために体は太陽光に含まれる青い光(波長が短い460~480nm)を「昼間のシグナル」として利用して、青い光(波長が短い)のところでは起きようとします

逆に赤い光(波長が長い)は、昼(太陽光)と認識せず、体内時計(メラトニンの分泌)を乱しません

動物園の夜行性の動物の展示や水族館の深海魚の展示にも赤い光が使われているのはこのためです。

注意していただきたいのは、赤い光に催眠効果はありません。体内時計の就寝時刻に合わせて利用してください。

照明の光の色のポイント

●就寝前は赤い光で過ごす

●寝室の夜間照明の光の色は「赤」(暖色系でもよいですが、青い光が混ざっています)

●赤セロファンで青い光をカットするのが最高!

 

体内時計を乱さないのは白い照明より赤い照明

赤い光は体内時計の影響が少ない。

照明の位置

寝室は、真っ暗ではなく月明かり程度の明るさ。その光は赤い色が良いことがわかりました。

次は照明の位置です。照明の位置は目に入る光の量に影響します。

視界に光源が入らないよう低い位置にすると、目に届く光は壁や床に反射して弱まって届き、目に入る光の量がより少なくなります。

逆に天井の照明など高い位置の照明は、仰向けに寝た赤ちゃんには直接光が目に入り、入ってくる光の量は多くなります

常夜灯や授乳の時の照明は、低い位置で赤ちゃんの視界に入らない場所に置くのがおすすめです。

赤ちゃんの視界に入らないように照明は低い位置

 

寝る前の室内照明はいつから暗めに?

寝る前は暗く赤い光で過ごすのが体内時計のリズムに沿った入眠に欠かせません。

では、寝る前どのくらい前から暗いのが良いのでしょうか。

研究結果から、就寝前に光を浴びていた時間が長いほど(寝る直前まで明るい光を浴びていた)、メラトニンの分泌が抑制されることがわかりました。

就寝の1.5時間ほど前から照明の明るさを暗めにしておくのがよさそうです。

夕方から日没の状態をおうちの中で再現しましょう。

夕方からは照明を落として家の中も日没モードに。

夜泣き・寝ぐずり解消!”明るさ”のまとめ

赤ちゃんだけでなく、大人も夜ぐっすりスムーズに眠るための光の条件がわかりましたね。

 

<睡眠のための光条件>

①明るさ→暗く。満月の夜の明るさまで。

②照明の色→赤色

③照明の位置→視界に入らない低い位置

④部屋を暗くする時間→就寝の1.5時間くらい前から

 

今日は、睡眠のベースとなる睡眠のための光環境の条件を詳しくご紹介しました。

睡眠のベースの環境の条件は他にも温度や室温などがあります。睡眠のベースについては「赤ちゃんが寝ない時は「睡眠のベース」をチェック!」の記事をご確認ください。

参考資料)

落合ら,2017,夜の青色光と赤色光の生理作用:測定項目間の違いと印象評価との関連性,日本生理人類学会誌 Vol.22,No.2  2017, 5 69 – 76

樋口重和, 光とメラトニン抑制

田口ら,2016,よい眠りはサーカディアンリズムの調整から-正しい光利用で不眠・せん妄予防-,日本保健医療行動科学会雑誌 30(2), 2016 29-34

 

クークールナでは、

  • 睡眠のベースが整っているのか確認してほしい。
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など、お子さまの睡眠についての「なぜ?」「どうしたらいい?」を丁寧にご家庭に状況をうかがいながらお答えしています。

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川口リエ
この記事の執筆者

子どもの睡眠相談室クークールナ

代表 川口リエ(CISA認定小児スリープコンサルタント講師)