母乳とミルク、赤ちゃんがよく寝るのはどっち?研究でわかった本当のところ

「ミルクのほうが腹持ちがいいから、よく寝るって本当?」
「母乳の赤ちゃんは夜中に何度も起きるの?」
「寝る前はミルクに変えたら長く寝てくれるのかな……」
生後2か月を過ぎてくると少しずつ、夜の睡眠の深い―浅いリズムができあがり、成長とともにまとまって寝ると思っていたのに細切れで起きる!どうして?空腹なのかな?と考えてしまいますね。
実際、「ミルクのほうが消化に時間がかかるから、母乳よりよく寝る」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
母乳とミルクでは、赤ちゃんの睡眠に違いがあるのでしょうか?
結論からいうと、研究では、
母乳で育つ赤ちゃんは、ミルクで育つ赤ちゃんより夜間に目を覚ます回数が多い傾向があることが分かりました。
一方で、
「母乳の赤ちゃんは睡眠時間が短い」「ミルクに変えれば必ずよく寝る」とまでは言えません。
今回は、母乳・ミルクと赤ちゃんの睡眠について、システマティックレビュー(信頼性が高いエビデンスレベル)を中心に、乳幼児睡眠の視点から解説します。
目次
母乳とミルク、赤ちゃんが”よく寝る”のはどっち?
2023年に発表されたシステマティックレビューでは、2012~2022年に発表された35研究を検討し、授乳方法と乳児・母親の睡眠との関係を調べています。
このレビューでは、母乳で育つ赤ちゃんは夜間に目を覚ます回数が多いという研究が多くみられました。
しかし、総睡眠時間や、夜間に目を覚ましている時間の長さ(WASO)については、母乳児とミルク児で明確な差が認められない研究も多くありました。
つまり、
母乳の赤ちゃんは夜中に起きる回数は多い傾向がある。
でも、1日を通して睡眠トータル時間が短いとは限らない。
ということです。
ここで大切なのは、「夜間覚醒の回数」と「睡眠時間」は別の指標だということです。
生後6か月以降は母乳の方が頻回起き⁉
2021年のシステマティックレビューでは、12か月未満の乳児を対象とした21研究、合計6,225人のデータが検討されました。
新生児~生後6か月以下
- 完全母乳栄養児は夜間覚醒(夜中に起きる回数)が多い傾向がみられました。
- ただし、夜間睡眠時間や1日の総睡眠時間は、人工乳児と大きな差がないと報告した研究が多数でした(約67%)。
- 「母乳だから睡眠時間が短い」とまでは言えず、違いがあっても主に覚醒回数に現れることが多いとされています。
生後6か月以降
- 母乳を飲んでいる乳児は、人工乳児より夜間睡眠時間が短いと報告した研究が多数でした。
日の総睡眠時間も短い傾向がみられました。 - 夜通し眠る割合は、母乳児のほうが低いことが報告されています。
- 夜間覚醒回数や夜間覚醒時間も母乳児で多い傾向がみられました。
【注意!】夜起きない&長く寝る条件”ミルク”とは限らない
「ミルクに変えたら寝る」?
「ミルクのほうが消化に時間がかかるため、赤ちゃんが空腹になりにくい」という説明を聞くことがあったり、考えるかもしれません。
母乳と乳児用ミルクでは栄養組成や消化のされ方に違いがあるため、満腹感の持続時間が睡眠に影響している可能性は、実際、2021年のシステマティックレビューでも、母乳児の夜間覚醒が多い理由の一つとして、こうした違いが考察されています。
しかし、赤ちゃんが夜中に起きる理由は空腹だけではありません。
研究では、ミルクで育つ赤ちゃんのほうが夜間覚醒が少ない傾向は示されましたが、
「母乳からミルクに変えれば、赤ちゃんがよく寝るようになる」という因果関係が証明されたわけではありません。
また、夜間覚醒の多さは母乳の栄養学的欠点を示すものでもありません。
生後6か月以降母乳育児で覚醒が多い理由(研究での考察・仮説)
【理由1】母乳児では夜間授乳が継続しやすい
母乳育児では、生後6か月以降も夜間授乳が続いていることが少なくありません。
- 夜間覚醒 → 授乳 → 再入眠
というパターンが習慣化しやすく、結果として夜間覚醒が観察されやすい可能性があります。
【理由2】 母乳そのものではなく「育児スタイル」の影響
著者らは、睡眠に影響しているのが母乳そのものとは限らないとも指摘しています。
例えば、
- 添い寝(co-sleeping)
- 夜間の反応的授乳
- 乳児との身体的接触の多さ
などが母乳育児家庭では比較的多くみられ、これらが睡眠パターンに影響している可能性があります。
つまり、「母乳だから起きる」 ではなく 「母乳育児と関連する育児環境が夜間覚醒に関係している」可能性があります。
「ミルクが寝やすい」に隠された真実
つまり、起きる要因を母乳育児の中で意識することで、ミルクと同じような結果が得られる可能性があるということです。
母乳・ミルクにかかわらず、夜間覚醒する要因は、
- 睡眠・覚醒リズムの発達
- 睡眠サイクルの切り替わり
- 入眠時の習慣
- 授乳や抱っこなどの再入眠方法
- 発達段階(粗大運動の発達時期)
- 生活リズムや睡眠環境
など、さまざまな要因が関係しています。
特に、生後4か月以降になると、
- 体内時計が整い、日中に1日に必要な栄養を摂れるようになる。
- 睡眠サイクルや夜間の睡眠ステージが発達。REM睡眠が1.5~2時間ごとに定期的に表れるようになる。
- 赤ちゃんの中ではお昼寝リズムが規則正しくなっていく中で、実際のお昼寝リズムが合わないと夜の睡眠が不安定になる。
など、「空腹以外の要因」の可能性が高くなってきます。
そのため、「ミルク=腹持ちがいい=朝まで寝る」「ミルクに変えたら寝る」とは単純に考えることはできません。
夜間の一時的な覚醒の時には、
- そのまま再び眠る (親は起きたと感じにくい)
- 少し動いて眠る・声を出す(寝ぼけ・寝言泣き)
- 泣いて保護者を呼ぶ(入眠の癖)
など、さまざまなパターンがあり、起きた時の介入に授乳が残っていたかどうかも重要なポイントになります。
授乳と夜通し寝の条件はこちら▶『赤ちゃんはいつから夜通し寝る?月齢の目安と夜通し寝の3つの条件』
まとめ 母乳とミルク、赤ちゃんがよく寝るのはどっち?
- 母乳で育つ赤ちゃんは、ミルクで育つ赤ちゃんより夜間覚醒が多い傾向がある
- しかし、夜間覚醒が多い=総睡眠時間が短いとは限らない
- 生後6か月以下では、母乳とミルクで睡眠時間に差がない研究も多い
- 「ミルクのほうが腹持ちがいいからよく寝る」という説明だけでは、赤ちゃんの睡眠を十分に説明できない
- 「母乳だから夜泣きが多い」とは言い切れない
- 「ミルクに変えれば必ずよく寝る」という科学的根拠もない
つまり、
母乳とミルクでは夜間覚醒の回数に違いがみられる傾向はあります。
でも、赤ちゃんの睡眠は授乳方法だけで決まるものではありません。
「ミルクに変えれば寝るのかな?」と悩んだときこそ、授乳方法だけではなく、赤ちゃんがなぜ夜中に起きているのかに目を向けてみてくださいね。
クークールナでサポートさせていただいている2,000件以上のご家族のこどもたち。
母乳育児もミルクも全く同じどちらが寝られない、という差はありません。
夜泣きの視点のみで母乳をミルクにする必要もありません。
完全母乳でもミルクでも、混合でも、
●環境・スケジュールを整える
●入眠の癖なく自分で寝る力を引き出す
で夜通し眠れていますよ★
よくある質問(FAQ)
Q1.ミルクのほうが腹持ちがいいから、赤ちゃんは長く寝ますか?
研究では、ミルクで育つ赤ちゃんのほうが夜間覚醒が少ない傾向を示しています。しかし、「ミルクだから必ず長く眠る」とは言えません。赤ちゃんの睡眠には、授乳以外にも睡眠の発達や生活リズム、寝かしつけ方など、さまざまな要因が関係します。
Q2.夜泣きがひどいので、母乳からミルクに変えたほうがいいですか?
「ミルクに変えれば必ず夜泣きが減る」という科学的根拠はありません。ミルクへの変更を考える場合も、まずは赤ちゃんの月齢や成長、栄養状態、夜間授乳の必要性(日中の栄養回数)を確認しましょう。睡眠については、授乳方法だけでなく、入眠や再入眠の方法も含めて考えることが大切です。
Q3.母乳を飲ませないと赤ちゃんが眠れません。どうしたらいいですか?
授乳「入眠の癖」になっている可能性があります。授乳自体は悪いことではありませんが、保護者が夜間の授乳に負担を感じている場合は、月齢や発達に応じた方法で、授乳以外の入眠・再入眠を自力でできるようにしていくことで眠れるようになります。
Q4.混合育児なら赤ちゃんはよく寝ますか?
混合育児でも赤ちゃんの睡眠には個人差があります。授乳方法や栄養形態だけでなく、赤ちゃんの睡眠リズムや寝かしつけ方なども一緒に考えてみましょう。
Q5.夜間授乳をやめれば、赤ちゃんは朝まで寝ますか?
必ずしもそうとは限りません。夜間授乳が入眠の癖になっていた場合、授乳をほかの癖にすり替えてしまうと、夜間授乳をやめても同じように起きてしまう可能性があります。また、赤ちゃんが夜中に起きる理由は空腹だけではないことも多いためです。
夜間授乳は月齢によっては夜間授乳が必要な場合もあります。夜間授乳を減らす・やめる場合は、赤ちゃんの成長や栄養状態が心配な場合や月齢が低い場合は、必要に応じて医療専門職に相談してください。
夜間断乳についてはこちら▶『夜間断乳はいつから?日中の栄養~授乳ミルクの回数をチェック』
クークールナでは
- 月齢に合った生活リズム(授乳・栄養とお昼寝スケジュール)
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を個別相談にてご提供しております。お気軽にお問い合わせください。

- この記事の執筆者
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子どもの睡眠相談室クークールナ
代表 川口リエ
・GuuMinスーパーバイザー
・クークールナスリープアカデミー講師