泣かせないネントレ~ベッドタイムフェイディング(睡眠制限法)
ネントレにはいくつか方法がありますが、今日は「ベッドタイムフェイディング(Bedtime Fadeing/Faded Bedtime with Response Cost)」日本語では「睡眠制限法」というネントレメソッドをご紹介します。
※フェードアウトメソッドとは違いますのでご注意くださいね。
フェードアウトメソッドは、いわゆる”泣かせるネントレ”と呼ばれる段階的消去法(Graduated Extinction)の一種で、チェアメソッドやスリープレディーシャッフル(SLS)と呼ばれる方法を愛波文氏が著書のなかで名付けたものです。
目次
ベッドタイムフェイディングの特徴
ベッドタイムフェイディングも段階的消去法(ファーバーメソッド)と同じように、親の介入がなく自分で寝付く経験をしながら、眠くなるたび、夜中覚醒するたびに親を起こすことなく自分で眠る力を育む方法です。
ファーバーとは違い、泣いていたり寝ない時間を制限して「あやす」ということをしながら自分で寝落ちるチャンスを作ります。そして、夜の最初に寝つく時に自分で眠るようになることで夜中の覚醒も減っていくことを狙うメソッドです。
このメソッドで改善が見込める「夜泣き」タイプ
ベッドタイムフェイディングは、寝かしつけの時に授乳や抱っこなど、親の介入「入眠の癖」が原因の夜泣きの改善のために用いられるメソッドです。
入眠の癖が原因の夜泣きは、例えば、
①寝かしつけに時間がかかる(寝たと思って置いたら起きてしまい、また寝かしつけの繰り返し)
②夜中何度も覚醒してその度に寝かしつけが必要
③早朝の浅い睡眠で親を呼んでいる間に起きてしまい再入眠できない
などがあります。
ベッドタイムフェイディングの方法
①普段、寝付く時間に「おやすみの言葉」をかけてお布団に置きます。(たとえば20:00)
②この時に泣いても授乳や抱っこなど辞めたいと思っている「寝かしつけ」をせずにお布団に置き15分待ち、15分寝なかったら寝室を出て、あやして気分を落ち着かせます。
③最初の寝かしつけから1時間後、再度「おやすみの言葉」をかけてお布団に置きます。(21:00)
④15分以内に寝付けなかったらお布団から出して、さらに1時間後に寝かせます。(22:00)
~15分以内にお布団の上で寝るまで繰り返します~
⑤次の日の就寝も同じように15分以内で寝るまで繰り返します。
⑥少しずつお布団の上で寝付くことを覚え、普段の就寝時刻に近づいて眠れるようになります。
ベッドタイムフェイディングの注意点
あやしている最中に寝かせない
15分寝ないため寝室を出た後、あやしている最中に寝ないようにすることがとても大切です。
ベッドタイムフェイディングの目的は、一人で眠る経験をしてもらい一人で眠るスキルを身につけることなので、あやしている最中に寝てしまうと目的が達成できません。
前日夜の寝不足を次の日の遅起き&お昼寝で補わない
トレーニングが始まると就寝時間がかなり遅くなることが予測できますね。
でも、次の日の朝は普段通りに起こし、日中のお昼寝の長さも普段通りで過ごします。
そうすることで、夜の寝かしつけの時に「寝ないで頑張る」ができないように眠気を高めておくことが大切です。
ベッドタイムフェイディングの準備
ベッドタイムフェイディングを成功させるためには、他のネントレと同じように準備がとても大切です。
①寝室環境を安全に快適に整える
②就寝前のルーティーンを確立させておく
③体内時計(起床就寝)とお昼寝リズムを一定にしておく。
特に、③の体内時計整え、お昼寝によって就寝時刻を調整することが最重要。
眠気が高まる前に寝かしつけをスタートしてしまうと、その分眠れない時間が増えて、なかなか効果が現れません。
この方法が合っているタイプ
月齢
体内時計が整い、お昼寝のリズムが安定し始めた生後6~8か月以上。特に、寝かしつけに親の介入が多くても、夜中の頻回起きが落ち着いてきた幼児さん向けのメソッドです。
性格・性質
分離不安が強かったり、親が泣いている時間をどうしても見守ることができない場合に向いているといわれています。
このメソッドの難しさ
理由① 体内時計、生活リズムが崩れやすい
ベッドタイムフェイディングを実際に取り入れることは限定的です。
なぜなら、「起こしておく」がとても難しいのです。寝不足でぐすりがひどくなったり、ふとした時に寝てしまうと就寝時刻に眠気がたまっておらず、寝つきづらくなりメソッドの効果が得られず、ずっと就寝時間が遅いままで寝不足が続いてしまいます。
寝かしつけの癖を取れないだけでなく、体内時計まで崩れかねません。健康的な習慣をつけるために不健康な状態が続くのは本末転倒になってしまいます。
理由② 夜中の覚醒への効果が出るまで時間がかかる。
夜中起きてしまったとき、寝かしつけと同じように15分寝付かなったら「起こしておく」ということが夜中はできません。そのため、就寝の時は一人で眠れるけれど、夜中覚醒したり泣いた時には、寝かしつけが必要な「再入眠の癖」が残りやすいメソッドになります。
まとめ
ベッドタイムフェイディングは、段階的消去法のバリエーションとはちょっと違う考え方のネントレメソッドです。
眠気を味方にしたメソッドになりますので、体内時計(起床就寝)と生活リズムを整えることが、成功への近道になりますよ。
準備がしっかりできない状態でのメソッドのスタートはしない。
メソッドをスタートしたのに、うまく進まない時は早めにストップしてくださいね。
どのようなメソッドでも3日で改善の実感がない場合は、準備ややり方が間違っているサイン。
頑張りすぎないようにしましょう。
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参考資料)小児の睡眠問題に対する行動科学的アプローチ羽山 順子, 津田 彰,2011.雑誌名久留米大学心理学研究,10:150-158