根拠に基づくネントレ解説~ファーバーメソッド、タイムメソッドetc…段階的消去法
ファーバーメソッド、タイムメソッド、フェードアウトなど、いろいろな名称がありますが、どれも行動療法としての理論は同じ方法です。そして成功のためにはしっかりなぜ効果があるかを理解して、準備を整えることが大切。
そして、一番大切なのは、「ネントレ」はどうして夜泣きに効果があるか、正しく理解すること。ネントレは、「泣かせる」だけではありません。ネントレで親子の絆は壊れません。
ネントレを上手に使って夜はぐっすり。日中、親子の笑顔や楽しい育児の時間を増やしてくださいね。
夜中、2時間おきに起こされるのが辛い!
夜の方が授乳が多くなっている気がする…。
日中、寝不足が辛くてお出かけする気も、家事をする気もおきない。
そんな状態で笑顔が減ってしまったら、ネントレも選択肢の一つに入れてみてくださいね。
ネントレとは
ネントレとは、赤ちゃんの睡眠のために生活スケジュールや寝室環境を整えることではなく、入眠(夜中の再入眠含む)と物や行動の強い関連を消去して、それがなくても眠れるようにする認知行動療法的な方法です。
「セルフねんねを覚えてもらう」ため、とも言われますが、入眠の時に必要な行動や物を、自分自身で解決してもらえるようになる(1人で眠れる)ことによって、夜中、睡眠が浅くなって、周囲の安全を確認するための覚醒や、目を覚ましても一人でまた寝付けるようになり、「夜泣き(親が起きなければならない状態)」がなくなります。
例えば、
寝かしつけや夜中起きる度に授乳をしなければならない状態。
起きる度におしゃぶりを渡さなければならない
など、親に負担がある関連付けはネントレによって改善することができます。
ネントレで改善できる睡眠トラブル
夜中1~2時間ごと(睡眠が浅くなるタイミングで必ず起きる)に起き、早朝はさらに間隔が短くなる。
※頻回に起きても、授乳や抱っこなどのあやし、お気に入りのものがあればすぐに眠れる状態
夜中頻回に起きていても、起きる原因が入眠との関連付けによるものでなければ、ネントレでは、頻回起きはなくならないので、注意が必要です。
ネントレの種類
①Extinction(エクスティンクション 消去法)
とにかく夜の就寝から朝起きるまで、親は一切かかわらない。
②Graduated Extinction (Ferber method ファーバーメソッド・タイムメソッド 段階的消去法)
子どもが眠る時間になったら、親の接触による”あやし”はなくし、子どもを一人にして、一定時間おきに、子どもの様子をチェック※して安心させる。
一人にする時間は少しずつ長くしていく。
1日目:3分→5分→10分→10分→(寝るまで)
2日目:5分→10分→12分→12分→(寝るまで)
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※このファーバーメソッドを含め、①~③のメソッドは一度赤ちゃんをベッドに置いたら、親が触れることはしません。声掛けや近くで赤ちゃんが安全かどうかを見てチェックするのみです。
③Graduated Extinctionのアレンジ(多数あり)
- Sleep Wave スリープウェーブ:子どもを一人にして親が見守る時間は長くせず一定時間で続ける
- Camping out (キャンピングアウト) Sleep Lady Shuffle(スリープレディシャッフル)、フェードアウト
子どもを一人にする前に親のあやし方の介入度を減らしていき、一人にするまでに数日時間をとる。
[注意]
最初の数日は赤ちゃんをベッドに置いた後も抱き上げることはOKですが、少しずつベッドから離れて見守り、数日後からは触れてあやすことはなくなります。
④Bed Time Fading(ベッドタイムフェイディング)
寝かしつけを始めて「関連を切りたい行動」をしなくても15分以内に寝落ちるまで起こし続ける。
(関連を切りたい行動をせがんで泣くなら、そのタイミングには寝かせず寝室を出る)
などなど、「ネントレ」の方法はたくさんあります。
ただし、どれにも共通するのは、
これまで眠る時に親が行っていた行動をしない状態で、眠りにつく経験をさせる。
→○○がなくてもスムーズに眠れるようになる。
ということです。
赤ちゃん泣いて何かを求める目的は「眠ること」ですから、一番早く目的を達成(眠れる)できるのは、保護者が○○してくれるのを待つことなく、自分で寝ちゃうのが一番!
つまり、ネントレの本質は
「寝る」を手に入れるために行っている「泣く」という行動を消去するというのが本来の意味。
「泣くこと」のご褒美『寝る』が手に入れば、赤ちゃんも普段の経験から、強く長く泣いたら早くご褒美(寝る)が手に入るので、毎回泣くし、眠いほど泣き止まなくなります。
これが学習心理学に基づいた根本的な理論でこの「泣く」を消去するのが行動療法的な考えかたの「(段階的)消去法」になります。
赤ちゃんも泣かずに『寝る』が手に入ることがわかれば、
目が覚めても泣かずに自力で再入眠するので保護者は、起きたのに気が付かない。
↓
夜中の頻回起きの克服!
【注意!】
この理論を知らないネントレ情報は、泣いたら●分の”待つ”時間にこだわったり、●分経ってダメだったら元の寝かせ方に戻る」「●分経ったら触ってあやしてから退室」などをOKとしていたりますが、それは、「泣く」という行動を強めてしまい、夜泣きの悪化につながりかねないので是非ご注意いただきたいです
ネントレ導入はいつから?
ネントレ導入は生後6ヶ月が目安
ネントレで大切なのは、赤ちゃんが自分一人で「落ち着いてネンネする心と体の準備」ができることです。
月齢の小さな赤ちゃんは、自分の好きな体勢になることすらできません。
また、日中でも一人で仰向けの状態にいる不安感が強いことも多いですね。
やはり、ゴロゴロお部屋でご機嫌に過ごせたり、自分でゴロンと好きな体勢になれるようになるまでは、「大丈夫だよ」と保護者のお手伝いが必要かもしれません。
「②Graduated Extinction (段階的消去法・ファーバーメソッド)」については、親子の愛着形成や、ネントレによる情緒などへの影響があるかの研究がたくさんあります。その結論としては、
- 生後6か月以降の赤ちゃんへの成長や情緒、親子のアタッチメントに悪影響はない
- ネントレによる夜泣き減少の効果は80%以上
と明らかにされています。
ネントレの導入に向かない時期
生後6ヶ月でも無条件にネントレがOKというわけではありません。
●ネントレを避ける時期
- 寝返りをしてもそこから自分で安全に頭を下ろせない時(寝返りがえりもできない)
- 寝室が安全な状態ではない
- 睡眠との関連付け以外に睡眠を妨げる原因がある
- 生後5か月以下と1歳半以降
お子さまを一人にして安全が確保されない場合は、導入の時期をずらしてくださいね。
ファーバーメソッドの失敗の原因については、別の記事で詳しく解説しています。
・Solve Your Child’s Sleep Problems,2013,Richard Ferber,Vermilion
・The Happy Sleeper: the science-backed guide to helping your baby get a good night’s sleep – newborn to school age,2015,Heather Turgeon Julie Wright
・The Sleep Lady’s Good Night, Sleep Tight: Gentle Proven Solutions to Help Your Child Sleep Well and Wake Up Happy,2009,Kim West, Vanguard Press
・It’s Never too Late to Sleep Train: The low stress way to high quality sleep for babies, kids and parent,2019,Dr.Craig Canapari, Yellow Kite
クークールナでは、
- ネントレ導入がお子さまのお悩み解決に効果があるか
- ご家庭の寝室の状況やお子さまの気質等に合ったネントレのアレンジ
- ネントレをスムーズに、泣きを最小限にするための準備
- ネントレ中のお子様の反応への対応方法
など、安心して効果あるネントレをサポートしております。
ネントレについて深く知りたい。自分に合った方法を教えてほしい。ネントレをサポートしてほしいなど、どうぞお気軽にお問合せください。