Column

睡眠のおはなし

赤ちゃんの睡眠と栄養-「鉄」

睡眠と日中の活動は表裏一体。運動や栄養は睡眠の安定には欠かせない要素です。

栄養については、特に「鉄」は、ママも赤ちゃんにとっても意識して摂る必要のある栄養素の一つです。

正産期で生まれた赤ちゃんはママのお腹の中にいる時に身体に鉄分蓄えて、生後4か月ごろまでは正常な鉄代謝を営みます。

そのため生後0~5ヶ月までは母乳からの摂取量(約0.5mg/日)で十分。

ただし、生後6か月になると、母からもらった鉄の蓄えを使い果たし、必要な鉄を母乳からだけでは確保できなくなり、ミルクや食事からの鉄分が必要になってきます。

鉄の役割と効果

鉄が欠乏することによる健康への主な影響は、

  • 疲労感および無力感、イライラなど精神の不安定
  • 小児期の認知機能および社会機能の発達遅延
  • 体温維持能力の低下
  • 免疫機能低下
などがあります。睡眠では、入眠困難などの不眠の原因になります。
 
鉄は、精神の安定や睡眠に欠かせない神経伝達物質のドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンを作る手助けをしており、不足するとこうしたホルモンがしっかり分泌できないためです。
 
 
また、寝つき前に症状が強くなるといわれる「むずむず脚症候群」も鉄不足によるものといわれています。
赤ちゃんの夜泣き、特に寝ぐずりやぐっすり長く眠れない、などは鉄分不足も要因の一つになることもあるようです。
 

鉄分はどのくらい必要?

鉄の食事の摂取基準量(一般)

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」による、食事から摂る鉄分量は以下の通りです。
 

特に、月経で毎月鉄分が失われる女性は、男性よりも効率よく鉄をとらなければならないことがわかりますよね。

そして、6ヶ月~11か月の赤ちゃんは、まだまだ離乳食の始まったばかりなのに、お肉もモリモリ食べられる7歳の摂取量と変わらない摂取推奨量となっており、とても多く感じませんか?

妊婦・授乳婦の食物摂取基準

妊娠期は、月経がない女性の食物摂取基準に加えて

  • 初期… 2.5mg/日
  • 中期…9.5 mg/日
  • 後期…9.5 mg/日

授乳している期間は、

  • 2.5mg/日

さらに必要になります!

ちなみに、妊娠期は鉄の吸収率が上がります。特に非ヘム鉄の吸収率が妊娠中期以降に著しく上昇します。

食事に含まれる鉄の吸収率は、非妊娠時には約15%ですが、妊娠中期からは、なんと40%に上昇。

赤ちゃんに鉄を届けるために鉄の吸収率が上がるなんて、すごいですね。

 

【妊娠期の食事摂取基準】

妊娠期(初期)・授乳期…9mg/日 (月経無6.5mg+付加量2.5mg)

妊娠期(中期・後期)…16mg/日(月経無6.5mg+付加量9.5mg)

食物に含まれる鉄の量の目安

鉄分を食事で摂取しようとすると
 
【ヘム鉄源】
豚レバー生…6.5mg(50g中)
牛肉赤身生…1.4mg(50g中)
きはだマグロ生…1.0mg(50g中)
 
【非ヘム鉄源】
調整豆乳… 2.4mg (200ml中)
納豆 …1.7mg(50g中)
ひじきゆで(ステンレス鍋)…0.2mg(50g中)
 
 
 
1歳までの離乳食で一日の鉄分摂取量を確保するのは、至難の業ですね。とくに日本ではタンパク質を始める目安が遅く、かなり厳しいのでは。。。

 

効率的に鉄を摂るために

鉄の吸収は一緒に食べる栄養成分や鉄分の形態に大きく左右されます。吸収がいいのはヘム鉄。主に動物性の食品に含まれます。
 
非ヘム鉄は植物に多く含まれる鉄分で吸収率は低くなりますが、食肉タンパク質とビタミンCと一緒に摂ることで吸収率がUPしますよ。果物や野菜も一緒に食べるといいですね。
 
逆に、カルシウム、タンニンは非ヘム鉄の吸収を低下させてしまいます。

栄養・鉄分について考えるときに大切なこと。

この数字を出して、私が皆さんに伝えたいのは、「この推奨量をとらければ、大変なことになりますよ。」ではありません。お伝えしたいのは、
  • 乳児から鉄の摂取が大切ということへの理解が大切
  • 「鉄」を摂れる食材を含めた食生活を意識をする
  • できる範囲で鉄を取り入れる機会を逃さない(献立・フォローアップミルクや鉄強化の食品
ということです。
 
そして、これは、妊娠中かなりの鉄分を使い果たした産後のママにとって、とても大切です。
 
妊娠期にかなり鉄分を多く摂っていなければ、産後に残った鉄はほとんどないのでは・・・。
 
赤ちゃんのお世話が始まると、細切れ睡眠が強いられ、ママたちには質の高い睡眠が必要です。
 

産後は特に赤ちゃんのお世話で自分の食事どころではないと思いますが、赤ちゃんのためにもママは元気でニコニコが一番!

赤ちゃんが泣いていても、安全でお腹いっぱいなら大丈夫。
「ちょっと待っててね~」
「待っていてくれてありがとう」

の声掛けをしながら、しっかり栄養ある食事をとってくださいね。

 

クークールナでは、

  • 夜間授乳の適正量や回数
  • ネントレ準備・睡眠のベース(栄養・環境・発達)の整え方 
  • 睡眠トラブルの原因調査 など
お子さまの栄養・発達・月齢・個性も総合的に見ながらアドバイスしています。
 

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●この記事の執筆 Written by
子どもの睡眠相談室クークールナ 代表 川口リエ (CISA認定小児スリープコンサルタント講師)

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