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Column 睡眠のおはなし

【睡眠コンサルタント解説】赤ちゃんの覚醒時間・活動時間とは‐ネントレ本比較

お昼寝問題
子どもの睡眠の発達・しくみ
【睡眠コンサルタント解説】赤ちゃんの覚醒時間・活動時間とは‐ネントレ本比較

赤ちゃんの「覚醒時間・活動時間」とは、目覚めてから次に眠るまでの時間の長さで、英語ではWake Windowsといいます。

お昼寝の寝ぐずりを減らしたり、日中のスケジュールを整える時の目安にされこの考え方は近年急速に浸透してきていますね。

今回は、覚醒時間・活動時間とは何か、使い方や注意点をご紹介します★

覚醒時間・活動時間とは

赤ちゃんは、生まれてすぐは一日中寝たり起きたりを繰り返して寝る回数も時間も長いですが、日中の睡眠の回数や長さはどんどん減っていきます。

この、日中のお昼寝に影響するのは主に「睡眠圧」と呼ばれるシステムです。

「眠り」を起こす二つのシステム

①睡眠圧(ホメオスタシス)起きた瞬間から溜まり始める眠気。一定量溜まると身体は睡眠圧を解消しようと眠ろうとする

②概日リズム(体内時計)24時間の昼夜のリズムに合わせて日中の活動時間・夜の休息(睡眠)の時間のリズム

覚醒時間・活動時間

小さい赤ちゃんは「睡眠圧」が溜まる速度が速くて、すぐに眠くなりますが、成長とともに睡眠圧が溜まる速さが遅くなります。お昼寝も

4回以上(新生児~3ヶ月頃)→3回(生後8ヵ月頃まで)→2回(1歳過ぎまで)→1回

と、生まれて1年でどんどん変わっていきます。

この「身体が寝ようとするまでの時間」を目安として示したものが覚醒時間・活動時間になります。

 

月齢別の”時間”目安には科学的根拠はない

月齢別に覚醒時間・活動時間は欧米を中心に日本でも様々なサイトやコンサルタントで紹介されていますね。

でも、情報源によってかなりの幅があることにお気づきの方も多いのではないでしょうか。実は、この「起きていられる時間の長さ(覚醒時間)」に科学的根拠はなく、「経験則」的な目安なのです。

例えば、日本で有名なネントレ本で紹介されている覚醒時間・活動時間を比較したものが下の表です。本によって、これだけ差があります。

この差があったとしても、どの本も一定数の支持があるということを、裏返せば、どの覚醒時間・活動時間によるスケジュールにも合う子がいるってことですよね。

<ネントレ本の月齢別覚醒時間(最大の時間)

「医師の教える赤ちゃん快眠メソッド」
森田麻里子著
「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」
清水悦子著
「ママと赤ちゃんのぐっすり本」
愛波文著
生後3~5ヶ月 3時間 3時間(4~5ヶ月) 1.5時間
生後6~8ヶ月 3.5時間 4.5時間 2.5時間
生後9~11ヶ月 5時間 4.5時間 4時間

覚醒時間・活動時間を上手に活用しよう

疲れすぎていないかのチェックに

赤ちゃんは「そろそろ眠いよ」「疲れたよ」と言えませんよね。

疲れすぎた状態になるとイライラが高まって、寝ぐずりが始まったり、寝る前の気持ちや身体(体勢)の準備をする前に寝落ちてしまうことが多くなります。

眠くなるタイミングの目安として、疲れすぎる前に眠れる環境を整えてあげるといいですね。

(寝ぐずりの理由は「寝ぐずり・夜中のギャン泣きの理由は脳の働き。」をご覧ください。)

自分の子どもに合った覚醒時間を見つける「スタート基準」として

ネントレ本などの覚醒時間・活動時間の長さの目安に、科学的根拠がないことはお話しましたね。

1日のお昼寝の長さの調査※でも生後6ヶ月の1日のお昼寝の幅は2.5~4.5時間もありました。

1歳までの赤ちゃんのお昼寝パターンは特に個人差が大きく予測しづらいというのが、医学的な調査の多くでの結論となっています。なので、一つの覚醒時間・活動時間を参考に寝かしつけをしてみて、

  • その時点で眠たすぎるようならもう少し早め。
  • なかなか寝付けず毎回目安とした時間より遅いなら、遅め。

としてお子さん自身の覚醒時間・活動時間を見つけてみましょう。

お昼寝の移行期のスケジュール調整の時はこちらの記事をどうぞ

Ivo Iglowstein, et al.,2003,Sleep Duration From Infancy to Adolescence: Reference Values and Generational Trends,

覚醒時間の正しい使い方

NG✖「きゃ~!もうこんな時間!早く寝かせないと!!コルチゾールが…夜泣きが…」(早く寝て~!)ユサユサユサトントンユサユサ…

OK!「あ、そろそろ眠くなる頃だね。(眠そうな気配ないけど)ルーティーン始めようか~」…寝るのを待つ…(ママパパもウトウト)

眠気が強くなった時にスムーズに寝付くためには、覚醒時間・活動時間に合わせて寝やすい環境やルーティーンを整えてあげるのも大切になってきますよ★

(ルーティーンについては、こちらをどうぞ寝る前のルーティーンの効果と始め方

覚醒時間・活動時間恐怖症にならないで

目安とした時間通りに、寝付けないことで焦ったり、がっかりすることはありません。

覚醒時間・活動時間、スケジュールは、これを守れば、夜泣きがなくなる または、これを守らないと必ず夜泣きをするというものではありません。

特に月齢が低い時は、起きていられる時間が毎回違ったり月齢が上がると「寝たくない!」という意思で、睡眠圧が高まっても寝ないでいられたりするものです。

日中、睡眠圧が高まった途端に自分の意思に反してコテンと寝てしまうのは危険なので、身体のしくみとして、「眠いけど起きている」ことができるようになっています。

赤ちゃんは、日々のコンディションによって変化しやすいものなのです。

児を楽にする目安として活用してくださいね。

覚醒時間にとらわれて、親子が毎日楽しく過ごせなかったり、遊ぶ時間が減ってしまうことで、成長発達に必要な刺激が減るのは本末転倒ですよね。

クークールナでは、お子さまに合った覚醒時間・活動時間を大切にしています。

お子さまが気持ちよく過ごすため、お子さまにリズムにあったスケジュールを見つけませんか?

  • 覚醒時間・活動時間が見つけられず混乱してしまった
  • 夜泣きや寝ぐずりは覚醒時間・活動時間が合っていないから?
  • お昼寝や夜の寝かしつけのベストタイミングが知りたい

など、お子さまに合った覚醒時間・活動時間を見つけるお手伝いをしています。お気軽にお問合せください★

 

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川口リエ
この記事の執筆者

子どもの睡眠相談室クークールナ

代表 川口リエ(CISA認定小児スリープコンサルタント講師)