ホワイトノイズの使い方。夜泣きに効果は?癖になる?危険はない?
「ホワイトノイズ」とは、すべての音域の音がすべて同じ大きさで含まれる音のこと。赤ちゃんの寝つきが良くなったり、睡眠の質が上がることが確認されていますが、ホワイトノイズをかければ夜泣きは解消されるのでしょうか。
大人も子どもも寝やすい睡眠環境(睡眠のベース)として加えたいのが「ホワイトノイズ」。ホワイトノイズの効果や使い方や使う時の注意点、一度使いだしたら癖にならないか?などなど徹底解説していきます。
2023年10月21日にアメリカ小児学会で小児への騒音へのガイドラインがアップデートされました。このアナウンスメントに沿って記事をアップデートしています★
目次
ホワイトノイズとは?ピンク?ブラウン?レッド⁉
ホワイトノイズは広い音域の音が一度に含まれる音色の名称です。
ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズなど種類がありますが、なぜ色の名前がついているかというと、可視光線全ての波長になぞっているからです。
すべての波長が含まれる光は「白(ホワイト)」光線から波長が限定されると、赤い光、青い光、などに見えますよね。
音に関しても音の波長の含まれ方を色で表しています。なのでレッドノイズ、ブルーノイズと呼ばれる音も、もちろんありますよ。 レッドノイズは、ホワイトやピンクよりももう少し低い音が多い音、ブルーノイズは、ピンクノイズよりも、高い音域が多い音です。
●ホワイトノイズ
広い音域(低い音から高い音まで)の音が同じ強さで含まれている音色のことを言います。聞こえ方は「シャー」という感じで高めの音。
□似ている音→空気清浄機の音
●ピンクノイズ
音域が高くなるほど音の強さが弱くなっている音。聞こえ方は「ザー」
□似ている音→強い雨の音
●ブラウンノイズ
ピンクノイズよりもさらに高い音域の音の強さが弱く、低い音域の音が強い。聞こえ方は「ゴー」
□似ている音→飛行機の機内
ホワイトノイズの効果
騒音や突然の物音を緩和
音の刺激は、音の大きさの他、音が小さくても突然変化することでも強くなります。
ホワイトノイズはすべての音域の音色が含まれていますので、多少の音をかき消したり緩和してくれる、音のカーテンとして機能しますよ。
音自体は小さくても、それまで聞いていた音から突然音色が変わると脳は刺激として受け取り、驚いたり、寝ていれば起きやすくなります。
もし、以下のような場合にはホワイトノイズを取り入れることをお勧めします。
- お子さんが音に敏感だと感じる(音がすると起きてしまうと感じる)
- お子さんが寝ていると、静かに物音に気を付けて生活しなければならない
- 宅急便や時々道路を通る車やバイクの音などが気になる
- 上のお子さんが騒いで落ち着かない(下の子が寝ているからと静かにさせている)
ホワイトノイズを活用すれは、眠りやすい環境の条件(睡眠のベース)の一つである「音」の条件を整えられるのです。
→睡眠のベースについては、こちらをご参照ください
寝つき、睡眠の質を上げる
大人を対象としたホワイトノイズの効果を測定した研究は数多くあり、騒がしい病室で試したところ40%近い患者が寝付くまでの時間が短縮しています。
また、新生児(生後7日まで)赤ちゃんの研究では、寝つきが良くなったり深い睡眠が増えていました。
学校で落ち着きにくい子どもの集中力が高まったという研究結果もあります。
ただし、ホワイトノイズは催眠効果はありません。
寝つきの良さや睡眠の質についての効果については個人差や感じ方が異なりますが、穏やかに効いていると思ってください。
ホワイトノイズを聞いたからといって、眠くなるわけではありません。寝かしつけのタイミングが赤ちゃんの覚醒時間とずれていたらホワイトノイズを使っても「寝つきづらさ」は変わらないはずです。
寝かしつけのタイミングを合わせてホワイトノイズを取り入れることで効果は最大になるのです。
J A Spencer, D J Moran, A Lee, and D Talbert, 1990, White noise and sleep induction,Arch Dis Child. 1990 Jan; 65(1): 135–137.
ホワイトノイズの使い方
ホワイトノイズ、ピンクノイズ、ブラウンノイズ、音の選び方
人の耳は高い音域の音に敏感といわれています。
高音域に含まれる音が少ないピンクノイズやレッドノイズの方が心地よく感じる方が多いかもしれません。
ホワイトノイズより低い音域が多いピンクノイズは、脳波の活性度が低くなるという報告もあります。
低月齢の赤ちゃんはママのお腹の中で聞いていた音が安心するといわれています。
羊水では高い音が伝わりにくく低い音の割合が多いので、お腹の中ではお腹の外音の高い部分がカットされて聞こえているます。
小さい赤ちゃんには、ホワイトノイズ(シャー)よりも、ピンクノイズ(ザー)やブラウンノイズ(ゴー)の方がより効果があります。
ただし、音の感じ方は個人差が大きいので自分が心地よい音を選ぶのが一番!
赤ちゃんに「好きな音」を聞くことはできませんので、ママが心地よいと思う音色を選んであげましょう。
雨の音や川の音はピンクノイズに近いので自然の音もお勧め。
※波の音は、引いたり寄せたり、音のリズムを追ってしまうのでお勧めしません。
かけるタイミング・音量
①低月齢のギャン泣きを落ち着かせる
この時は、ギャン泣きから意識をそらすための音の刺激です。
赤ちゃんのギャン泣きと同じくらいにボリュームを上げ短時間聞かせます。
赤ちゃんのギャン泣きの泣き声は80dB(デシベル)時には100dB!(掃除機やドライヤーの音くらい)
これより大きい音でないと気が付いてくれません。
ホワイトノイズを大きい音で流して短時間。泣き声が弱まったら、赤ちゃんの耳への影響がないように音量を下げて50dBで維持。
今度は入眠前の落ち着く時間をつくるために寝付いてしばらくするまでは流し続けます。
②眠る前の不安感を落ち着ける(ルーティーンの最後に)
ネンネルーティーン(入眠儀式)をしているうちに眠気も高まり、心と体のネンネの準備が進みますが、いよいよ暗闇でゴロンの時はちょっと不安になりやすいタイミングです。
ここで、消灯の前にホワイトノイズをONで、静けさの中での不安感を緩和してあげましょう。
※ルーティーンについての詳しい記事はこちらをどうぞ
③騒音防止に
赤ちゃんは寝ている時間に、他の家族が起きていたり、まだ外の音がうるさい時は50dBくらいで流します。夜が深まって静かになったら、更に音量を落としたり消してしまってもOK。
同室に寝ている家族のいびきや寝言、寝返りの音が気になるなら朝までつけっぱなしがオススメです。
④お昼寝や外泊先で
周囲の環境が気になってなかなか落ち着けない時、ホワイトノイズを流すと散漫だった意識が集中でき、落ち着きやすくなります。
携帯用のホワイトノイズマシンをベビーカー近くで鳴らしたり、実家やホテル、外泊先でもホワイトノイズマシンをもっていくのがオススメです。
癖にならない?今からでも効果はある?
「ホワイトノイズを一度使い始めたら、止められなくなるのでは?」と、心配される方も多いですね。
ホワイトノイズは、”環境音”なので、歌やメロディーのように脳が音を追い続けませんので癖にはなりにくいですよ。
また、使い始める月齢や年齢に基準はありません。今日、突然使いだしても大丈夫です。赤ちゃんだけでなく一緒に寝ている家族の安眠にもなると思います★
止める時も同じで「止めたい」と思ったらその日に止めても問題ありません。もし急に止めるのに勇気がいるなら、少しずつ音量を下げて数日かけて慣れてきましょう。
ホワイトノイズは安全?耳に影響はない?使う時の注意点
①音量
必ず赤ちゃんの耳元で音量を測って55dBを超えない
夜の睡眠中に長時間流す場合は、必ず赤ちゃんの耳元で音量を測って55dBを超えないようにしましょう。
※注意:この音量を越えたから直ちに聴力に影響があるというわけではありません。
日常生活でも、救急車両が通ったり、突然の大きな物音がするのは自然ですよね。
長時間にわたり70dB以上の音を聞いていると聴力への影響が出てくる懸念が指摘されています。雷鳴やジェット機など、120dBを超える音は直ちに聴力に影響があると言われていいます。
Noise above 70 decibels over a prolonged period of time may start to damage hearing. Loud noise above 120 decibels, such as a thunderclap or jetliner take-off, can cause immediate harm to the ears. (AAP Sounds Alarm on Excessive Noise Risks to Children)
②置く位置
赤ちゃんの耳元から2m離す。
または、ホワイトノイズマシンはマシンの最大音量で流しても赤ちゃんの耳元で55dBを越えない位置に置く。
2014年にアメリカ小児学会に発表された研究で、ホワイトノイズマシンの最大音量で流した場合の赤ちゃんの場所での音量を測定しました。アメリカの病院の新生児室の音量の基準は50dBです。
最大音量にして赤ちゃんから30cm離れた場所に置いた時、すべてのマシンで赤ちゃんの耳元で50dBよりも大きくなり、2m離れた所に置いても赤ちゃんの耳元の場所で音量が50dB以下にならないマシンがありました。このことから、万が一ホワイトノイズマシンが最大音量になってしまった時の赤ちゃんの聴力への影響を避けるため、ホワイトノイズマシンを使う時は2m以上離すこととしています。
Sarah C. Hugh, Nikolaus E. Wolter, Evan J. Propst, Karen A. Gordon, Sharon L. Cushing and Blake C. Papsin, 2014,Infant Sleep Machines and Hazardous Sound Pressure Levels, Pediatrics April 2014, 133 (4) 677-681;Can Infant Sleep Machines Be Hazardous to Babies’ Ears?,2014, American Academy of Pediatrics
参考)National Sleep Foundation: What Is White Noise? Updated October 23, 2020
ホワイトノイズマシンの選び方
スマートフォンやタブレットで流すのも良いと思いますが、操作する時の画面の光は注意したいところ。ホワイトノイズマシンを1つ持っていると育児の色々な場面で活躍しますよ。
[ホワイトノイズマシンの選び方]
- 音量調節が細やかにできること
- ホワイトノイズが数種入っていること
- 持ち運びしやすいもの
- コンパクトでお子さまの目に入らない場所に置けるもの
- 電源コードがないもの(充電式だと、コードの絡まりの危険もなく持ち歩きも便利
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