ご感想
ネントレ(スリープトレーニング)を行う時、子どもにとってトラウマにならないか、どのくらい泣くのか?効果があるのか、心配になりますよね。
ネントレについては、世界中で以前より議論がされていて、医学的な研究も進んでいます。
今日は、ネントレの根拠について解説。
トレーニングを行うかどうかを検討するときの一つの判断や不安解消の材料として、科学的根拠(学術論文)の一例を取り上げてご紹介します。
そもそもスリープトレーニング(ネントレ)とは?
子どもの睡眠トラブルの要因となっている習慣、環境、行動を変える、薬物治療ではない方法で、睡眠改善を図ることをBehavioral Sleep Intervention と呼んでいます。
その中で寝かしつけの習慣を変えるために広く取り入れられている行動的な方法は、2種類。
①段階的消去法(消去法)
保護者の寝かしつけと睡眠の条件付けが強くなり、夜中の自然覚醒の度に保護者の寝かしつけが必要になっている場合に導入するもので、日本では例えば、ファーバー式、タイムメソッドと呼ばれています。(SLSやキャンピングアウトは、トレーニングにかける日数をコントロールしますので、対象としません)
詳しくは、「根拠に基づくネントレ解説~ファーバーメソッド、タイムメソッドetc…段階的消去法」
②睡眠制限法
ベッドタイムフェイディングのように、睡眠を制限し眠気を高めて、寝る前に泣く時間を作らず、入眠と親の介入を関連付けないようにするもの。
詳しくは、「泣かせないネントレ~ベッドタイムフェイディング(睡眠制限法)」
今回は、いわゆる「泣かせるネントレ」と呼ばれる、①行動療法的な考え方を取り入れた段階的消去法(消去法)の効果と安全面についての研究をご紹介します。
ネントレの効果
ネントレの効果についての研究についてのシステマティックレビューやメタアナリシスなどが多く行われています。
ミンデルらは(2006)米国小児学会のタスクフォースで行われた52の研究についてのシステマティックレビューで、段階的消去法・消去法だけではなく、予防的な親への教育(睡眠の情報提供)、ルーティーン、睡眠制限法など、エビデンスに基づいたBSIは子どもの睡眠の改善に有意であると報告しています。
Mindell JA, Kuhn B, Lewin DS, Meltzer LJ, Sadeh A; American Academy of Sleep Medicine. Behavioral treatment of bedtime problems and night wakings in infants and young children. Sleep. 2006 Oct;29(10):1263-76. Erratum in: Sleep. 2006 Nov 1;29(11):1380. PMID: 17068979.
また、日本でも羽山ら(2011)は、行動科学的アプローチに関する理論や効果について国内外の研究、特にネントレについては米国小児学会の報告をなどから、以下のように報告しています。
行動科学的なアプローチのうち,寝渋り,夜泣きを意図的に無視する消去法と,出産後6カ月以内に適切な対応の方法を養育者に教育する睡眠の予防的親教育は,小児の行動性不眠症に対する効果が確実であると示唆された。
羽山順子, 津田彰,(2011)小児の睡眠問題に対する行動科学的アプローチ,久留米大学心理学研究 : 久留米大学文学部心理学科・大学院心理学研究科紀要 (10) 2011
ネントレで寝るまでの時間の変化
トレーニングをスタートして、寝るまでの時間を調べた研究があります。サンプル数も大きく、信頼度も大きい研究です。
乳児にトレーニングをした経験のある親654名にトレーニングの結果についてアンケートを行ったところ、段階的消去法(49.5%) や消去法 (34.9%)、親が部屋にいる(15.3%)の方法を取り入れていました。どの方法にもかかわらず、トレーニング開始時から泣きの継続時間や効果を感じるまでの日数について、以下の結果が得られました。
~研究結果の概要~
・42.2%の回答者が1日目のストレスが大きかったと答え、1週間後のストレスが高いと答えた5.2%を大きく上回った。
・子どもが泣いた時間は、一般的に初日の夜が最も長いと答えたのが約半数で、泣いている時間の中央値は43分。1週間後の泣いている時間の中央値は8.54分だった。
・初めてのトレーニング導入で「成功した」と答えた割合は73%で、完了までの日数の中央値と最頻値は7日だった。
ほとんどの回答者がトレーニングに成功し、1 週間後までに子どもの夜泣きが大幅に減少し、2 週間以内に成功したと報告しました。
トレーニング経過に注意!
この結果を考えると、トレーニングをスタートして、1週間経っても寝る前の泣きの長さが減らないなど効果を感じにくい場合は、寝られない原因は入眠の癖ではない可能性があります。
スケジュールや環境などが整っているか、トレーニング方法が合っているかを確認するためトレーニングをストップしましょう。
ネントレは何カ月からOK?
トレーニングの効果の信頼度の高いエビデンスがあるのは生後6か月以降。生後6か月以下の赤ちゃんへのトレーニングはどうでしょう。
ネントレ(段階的消去法)は、生後4か月からOKとされている記述も見られますが、原則は生後6か月以降から。その理由は、
~トレーニングが生後6か月以降とされている理由~
①寝返りや寝返りがえりなど自分で寝ている間の姿勢を安全に、快適に保つ能力が発達する
②心理的な発達で「物の永続性」が認識でき、保護者が見えていたり触れたりしなくても、「保護者の存在」を意識できる
③体内時計・日中の睡眠のリズムが確立し、スケジュールが原因での夜の睡眠の不安定さが減らせる
④夜間授乳の必要性が減ってくる
つまり、生後6か月以下では、入眠と親の介入の条件付け以外の理由で起きている可能性が高く、トレーニングでは、その覚醒はなくすことができません。また、トレーニングの効果もなかなか現れないのです。実際に、生後6か月以下でのトレーニングの効果を調べた研究(システマティックレビュー)※では、
~生後6か月以下でのトレーニングの効果~
生後6か月以下での有効性は確認されていません。
生後6か月までの行動的介入(ネントレ)が、乳児の泣き声を減少させ、その後の睡眠トラブルを予防し、産後うつ病を予防することは示されていない。
さらに、母乳育児が早期になくなったり、母親の不安の悪化、保護者と別の部屋で寝る場合にはSIDSのリスクの増加など、意図しない結果を招く危険性がある。
とされています。
まとめ
●トレーニングは、生後6か月以降の赤ちゃんの入眠の癖による睡眠トラブルを軽減する。
●トレーニングで泣く時間は1日目が最も長いが、その後1週間後までに著しく減少することが多い。
●生後6か月以下の赤ちゃんには、泣きを減らしたりその後の睡眠トラブルを予防する効果はない。
クークールナでは、お子様の睡眠トラブルの原因により適切な改善方法とステップをご提案しています。
- トレーニングはあくまで選択肢の一つです。
- トレーニングをお考えの方には、トレーニングの必要があるか、トレーニングでの改善の可能性がある場合には、親子の負担を最小限にするための準備から方法、安定までのサポート。
- トレーニングをお考えでない方には、トレーニング以外の習慣の改善(スケジュール・環境)で目指せる睡眠の状態をお伝えしたうえで、サポート。
お気軽にお問い合わせください★
ご感想
※赤ちゃんの泣き方や様子がいつもと違う。不安を感じたら医療機関を受診しましょう。
1か月健診の前後から、赤ちゃんが何をしても泣き止まくなることがあります。
低月齢の時期に、体に問題がないのに泣いておさまらないのは、黄昏泣き(英語:Colicコリック)といわれる状態かもしれません。
ママパパは、あまりの泣きと苦しそうなギャン泣きをあやし続けて疲労困憊、とても心配されると思います。
私も長男の時に経験しました。まだまだ生まれたばかりの息子が、毎日何時間も苦しそうにいきんでは泣きを繰り返して、医療機関を回っても問題ないといわれたのですが、何もできず本当に心配で、産後の疲れもあって、とてもつらい子育てスタートになった記憶があります(涙)
アメリカのAAP(American Academy of Pediatrics)、イギリスのNHS (National Health Service)の情報をもとに詳しく解説していきます。
黄昏泣き・コリックとは(定義&状態)
米国小児学会(AAP)
- 生後2週目ごろから始まりピークは生後6週
- 1日に1~2時間以上泣き続けることが週3日以上(3週間以上続く)
- 泣きや夕方に多い(午後6時ごろから深夜まで)
イギリス(NHS)
- あやしたり落ち着かせるのが難しい
- 顔を真っ赤にして泣く
- こぶしを握り締めて泣く
- 膝をお腹ににあげたり、のけぞったりして泣く
- お腹がゴロゴロなっている
コリックは新生児の終わりから、とにかく泣く!うなる!状態。
朝になると落ち着きますが、また夕方になると始まる…という感じが続きます。
赤ちゃんの約20%に起こるといわれています。
上記の状態が続いても、赤ちゃん自体は健康で、よく飲み、体重増加も順調。
また、気質的な特徴でもなければ、その後の喘息やアレルギーの発症とも関連がありませんので過剰な心配は不要です。
黄昏泣きの原因
原因はわかっていません。
大切なのは、まずは普段と違う泣き方や苦しそうな時は、医療機関を受診しましょう。
医師の診断により、何も体に異変がない状態と判断されて、「黄昏泣き」「コリック」の可能性を考えます。自分で判断するのは危険です。
原因は特定されていませんが、可能性としては、
体の中(お腹)の刺激に過敏に反応していることが指摘されています。
「黄昏泣き」の他に「乳児疝痛」英語ではコリックと言われ、内臓のさすような痛みが名称の起源とされていますが、痛みがあるのか、あるとしたらどこなのかは不明です。
栄養の違い(母乳とミルク)の影響もありません。(ただし母乳の場合、母親が特定の食べ物の摂取を抑えることでコリックが緩和した、という研究報告もあります。)
対処法~泣きをマイルドに
<効果があるとされていること>
- 昼夜の区別をつける
- 授乳間隔を2~3時間開ける
- 膝の上にうつ伏せに寝かせて背中をゆっくりさする(寝たらそっとあおむけに)
- おしゃぶり
- 授乳で空気が入らないよう、体を起こして授乳
- ゲップをしっかりさせる
<してはいけないこと>
- 泣き止ませようとして強くゆすらない。
- お腹などを過剰にマッサージしたり動かそうとしない。
いつまで続く?
生後1か月までにスタートし、自然になくなります。
ピークは生後6週といわれており、通常は4か月まで。
※まれに生後6か月まで続くこともあります。
黄昏泣きじゃないかも!?
子どもの生活リズムに合っていない
コンサルテーションをしていると黄昏泣きではなく、「眠かっただけ(寝ぐずり)」といことがあります。
特に生後2か月ごろから19時以降に泣き止まない時は、就寝時刻を見直してみましょう。
朝7時にまでに起きている赤ちゃんは体内時計が少しずつ整って生後3か月頃には19時就寝になってもおかしくありません。
体は睡眠モードに入っているのに明るく眠れないと、光(特に天井照明)の刺激でイライラ爆発!落ち着けなくなりやすい時期です。
小さい月齢は親の就寝時刻までウトウト一緒にいられましたが、体内時計ができてくると赤ちゃんの就寝時刻は大人よりかなり早まります。
(生後3カ月までは夜は10~13時間寝ることも)
体内時計は睡眠だけでなく健康の基盤。「体内時計とは」もご覧ください★
体勢・環境が落ち着かない
生まれてすぐはまだまだ体の不快感などを感じて表現できなくても、どんどん感覚も発達してきます。
この時期は、自分自身で好きな体勢を作ったり、まぶしく感じてもまぶしくない方向に顔を向けるのも上手にできない時期。
落ち着けない時は、以下の2つを特に注意してくださいね。
<低月齢の赤ちゃんの落ち着く姿勢と環境>
- 背中を丸く、ママのお腹の中にいた時と同じ姿勢にしてあげる(おくるみを活用)
- 照明が視界に入らないように、天井の照明を消す。暖色系の照明に切り替える。(就寝時刻のようなら真っ暗)
睡眠、体内時計を乱さない光環境の記事もチェック!投稿「夜泣き・寝ぐずり解消!睡眠のための光環境”明るさ”」
参考)Child health.org, Colic Relief Tips for Parents (Last Updated:4/22/2024, Source: Adapted from Caring for Your Baby and Young Child: Birth to Age Five 7th edition)
National Health Service, Colic (Page last reviewed: 26 April 2022)
クークールナでは、
- お子様に合わせた睡眠・生活リズムの整え方
- 夜泣き、寝ぐずりの月齢に合わせた対処法
- 正しいネントレのサポート
など、新生児~小学生までお子様の睡眠トラブルにアドバイスしております。お気軽にお問合せください★
ご感想
夜泣き・寝ぐずり、質の良い睡眠をとるには、光環境(明るさ)を整えることがとても大事。
極端な場合ですが、夜の光によって昼夜逆転が起こったり、睡眠の質や健康を妨げてしまうこともあります。
今回は夜泣き・寝ぐずり解消、気持ちよく眠るための光整え方をお伝えします。
寝室は「真っ暗」でなければいけないの?
真っ暗は、周囲の安全を確認しにくく緊張感が強くなる方がいます。
真っ暗が苦手な方、赤ちゃんの様子が分からないと不安な方は、明るさは体内時計を乱さずメラトニンの分泌を邪魔しない明るさまで明かるくしてもOKです!
睡眠に適した環境の光条件を考える時、以下の2つの視点が大切になります。
①体内時計(メラトニンの分泌)への影響
…朝起きて夜眠る、活動と休息では体の働きが変わります。スイッチを切り替えや体内時計のリズムに合わせた生活・睡眠が健康の基盤になります。
②明るさに対しての心理的な不安感
…睡眠中は外への刺激への反応が鈍くなり無防備な状態になります。本能的に身を守ろうとして暗すぎると睡眠が浅くなる人もいます。
①体内時計(メラトニンの分泌)への影響
人間は太陽が昇っている日中活動し、太陽が沈むと睡眠に入る動物です。
この活動と睡眠で体の仕組みを切り替えるシグナルとなっているのが光(特にブルーライト)です。
本来、体が睡眠に入る時間に光の刺激が入ると、睡眠に入りにくくなったり、体の仕組み自体が混乱してしまいます。
②明るさに対しての心理的な不安感
寝る時の明るさについては、子育て中は特に子どもの様子が確認できず、「真っ暗は心配」という方も多いのではないでしょうか。
睡眠にとって心理的な要素は深く影響を及ぼします。
特に「不安」や「緊張」は安眠を妨げる大きな要素。
ママパパが不安を感じて入眠すると
真っ暗で見えない
↓
子どもが心配→夜中もこまめに確認
↓
子どもを起こす
↓
再度寝かしつけ
↓
入眠の癖(夜中の頻回覚醒)がついてしまう
というループになることも。もちろん、ママパパの睡眠も浅く細切れになりやすいです。
つまり、安眠のためには、「真っ暗」にする必要はありません。
夜泣き、寝ぐずり、夜間覚醒を防ぐ光環境
- 体内時計を乱さず、メラトニンの分泌を妨げない
- 暗くて不安にならない程度の明るさ
を目指すのが正解!
睡眠に良い光条件4つ
睡眠の光の二つの光の条件のうち「①明るさ」はなかなか計測するのが難しくご家庭では迷いやすいかもしれません。
日本には、JIS(日本工業規格照度基準)照度基準では、さまざま場所や活動によって適切な明るさが得られるように基準が定められています。
ただし、これはあくまで「活動」をするための基準で、ある基準以上の明るさが必要で目に悪影響を与えない上限の目安になっていいます。
睡眠についても主に住宅や照明の会社で研究が進められていますがご家庭には計測機器がありませんから、体感での目安をお伝えしますね。
睡眠を邪魔しない”明るさ”
<寝室の睡眠中の明るさの目安>
【照度】0.2lx
【環境の目安】満月の夜位
【感覚的な目安】物の色や詳細(表情)は分からないが、形は分かるくらい。
照明の色
人は昼に活動し栄養を摂り、夜に体を休める昼行性動物です。
活動する「昼間」を判断するために体は太陽光に含まれる青い光(波長が短い460~480nm)を「昼間のシグナル」として利用して、青い光(波長が短い)のところでは起きようとします。
逆に赤い光(波長が長い)は、昼(太陽光)と認識せず、体内時計(メラトニンの分泌)を乱しません。
動物園の夜行性の動物の展示や水族館の深海魚の展示にも赤い光が使われているのはこのためです。
注意していただきたいのは、赤い光に催眠効果はありません。体内時計の就寝時刻に合わせて利用してください。
照明の光の色のポイント
●就寝前は赤い光で過ごす
●寝室の夜間照明の光の色は「赤」(暖色系でもよいですが、青い光が混ざっています)
●赤セロファンで青い光をカットするのが最高!
照明の位置
寝室は、真っ暗ではなく月明かり程度の明るさ。その光は赤い色が良いことがわかりました。
次は照明の位置です。照明の位置は目に入る光の量に影響します。
視界に光源が入らないよう低い位置にすると、目に届く光は壁や床に反射して弱まって届き、目に入る光の量がより少なくなります。
逆に天井の照明など高い位置の照明は、仰向けに寝た赤ちゃんには直接光が目に入り、入ってくる光の量は多くなります。
常夜灯や授乳の時の照明は、低い位置で赤ちゃんの視界に入らない場所に置くのがおすすめです。
寝る前の室内照明はいつから暗めに?
寝る前は暗く赤い光で過ごすのが体内時計のリズムに沿った入眠に欠かせません。
では、寝る前どのくらい前から暗いのが良いのでしょうか。
研究結果から、就寝前に光を浴びていた時間が長いほど(寝る直前まで明るい光を浴びていた)、メラトニンの分泌が抑制されることがわかりました。
就寝の1.5時間ほど前から照明の明るさを暗めにしておくのがよさそうです。
夕方から日没の状態をおうちの中で再現しましょう。
夜泣き・寝ぐずり解消!”明るさ”のまとめ
赤ちゃんだけでなく、大人も夜ぐっすりスムーズに眠るための光の条件がわかりましたね。
<睡眠のための光条件>
①明るさ→暗く。満月の夜の明るさまで。
②照明の色→赤色
③照明の位置→視界に入らない低い位置
④部屋を暗くする時間→就寝の1.5時間くらい前から
今日は、睡眠のベースとなる睡眠のための光環境の条件を詳しくご紹介しました。
睡眠のベースの環境の条件は他にも温度や室温などがあります。睡眠のベースについては「赤ちゃんが寝ない時は「睡眠のベース」をチェック!」の記事をご確認ください。
参考資料)
落合ら,2017,夜の青色光と赤色光の生理作用:測定項目間の違いと印象評価との関連性,日本生理人類学会誌 Vol.22,No.2 2017, 5 69 – 76
樋口重和, 光とメラトニン抑制
田口ら,2016,よい眠りはサーカディアンリズムの調整から-正しい光利用で不眠・せん妄予防-,日本保健医療行動科学会雑誌 30(2), 2016 29-34
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ご感想
子どもの脳や体の発達には睡眠が欠かせません。
「睡眠の質を上げれば短時間睡眠でよくなる」
と聞くことがありますが、これは大人も子どもも正しくありません。
睡眠はその人が必要としている時間の長さを睡眠の質を損なわず眠るのが重要です。(体内時計に沿ったタイミングで睡眠をとることも重要!)
子どもの発達には、睡眠時間も質も大切ということを、子どもの脳の発達と睡眠の関係に着目して解説します。
脳の神経ネットワークの発達を道路に例えると・・・
生まれてすぐの神経ネットワーク
スタートからゴールにたどり着く道(神経ネットワーク)を試行錯誤しながら増やしてつなげる始める時期。神経ネットワークが爆発的に増えます。
0~5歳頃の神経ネットワーク
たくさんの経験をしながらゴールにたどり着く道を増やしていきます。神経ネットワークはこの頃が一生で一番多くなります。道も密にできていますね。
でも…道は増えたけど、あれ?どの道が最短コース?
5~13歳頃の神経ネットワーク
使わない神経ネットワークを減らしてスッキリ。最短コースを選べるように。
その後も神経ネットワークの断捨離(刈り込み)と整理が進んで、成人の脳神経の数は生まれてきた時の数に近づきます。
これらの神経ネットワークの発達は睡眠中に行われています。
十分に神経ネットワークの構築・刈り込みを行うために、睡眠不足は良い影響を与えないでしょう。
参考文献)駒田 陽子 , 井上 雄一編,2019,子どもの睡眠ガイドブック: 眠りの発達と睡眠障害の理解
睡眠ステージを脳を学校に例えると…。
睡眠中は主に脳を休めるレム睡眠と主に体を休めるノンレム睡眠の睡眠サイクルを繰り返しています。
この繰り返しの回数など、規則的に脳波が変化する様は、プログラムされたように次々と変わっていきます。
寝ている時の脳の中を学校に例えてみました。
レム睡眠中の脳
レム睡眠中の脳の神経は活性して大騒ぎ!脳波は小刻みに不規則な波形をしています。
レム睡眠は主に体を休めて、夢を見ながら記憶の整理をしているといわれる時間帯です。
※レム睡眠中は、大人は神経ブロックが効いて身体が動かない状態になっていますが、赤ちゃんは神経ブロックがまだまだ未熟で動いたり寝言泣きをしやすいですよ。
ノンレム睡眠中の頭の中
脳全体の神経が同調してゆったり状態。脳波は大きな揃った波形になります。
ノンレム睡眠は脳がしっかり休む時間といわれています。身体の調整をしたり、記憶の整理もこの時間にも行われています。
レム睡眠・ノンレム睡眠、どちらの睡眠にも、成長発達、健康や前日の記憶を生かして日中の活動をしやすくするための大切な役割があります。
学校生活でも授業の質は学習の内容に影響しますし、休み時間も充実して過ごすのが大事ですよね★
つまり…睡眠の質と睡眠時間の長さどっちも大事。
休み時間(REM睡眠)と授業(NREM睡眠)どちらも充実していることが、子どもの学びにとっては大切です。
さらに、たとえ質が高い授業でも、1日の授業が3時間目で終わってしまうのと、1日5時間目までしっかり学ぶのでは、学べる量の差は出てくることは想像がつきますね。
つまり、睡眠に重要なのは
睡眠の質と睡眠の長さどちらも大切!
この他、睡眠不足の脳の状態を解説した記事もどうぞ★
必要な睡眠量はどのくらい?
では、どのくらい睡眠時間が必要なのか、参考になるデータをご紹介します。
米国睡眠財団は大規模な調査により、推奨睡眠量のガイドラインを発行しています。
推奨されている時間の幅が数時間あり個人差があるのが分かりますね。まずはこの推奨時間を下回らないように意識して、気持ちよく過ごせる睡眠の長さを知ることが大切です。
推奨量より少ないからといってすぐに悪影響が出るわけではありませんので、神経質になり過ぎず、日中のイライラ、疲れなど日中気持ちよく過ごせているかを考えてみてくださいね。
赤ちゃんなら、
- グズリがひどい
- 月齢が高くなっても日中ふとした時に寝落ちてしまい毎日規則正しいお睡眠リズムにならない
等の場合は睡眠不足が隠れている可能性がありますので、目安の量が眠れるように意識してみてください。
<推奨睡眠時間>
- 生後0~3ヵ月:14~17時間(24時間)
- 生後4~11ヵ月:12~15時間 (24時間)
- 1~2歳:11~14時間 (一晩に)
- 3~5歳:10~13時間 (一晩に)
- 6~13歳:9~11時間(一晩に)
- 14~17歳:8~10時間(一晩に)
- 成人:7~9時間(65歳以上は7~8時間)
クークールナでは、妊娠期~学童までの
- その子に合った生活リズムを見つけたりそれに近づくためのステップ
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ご感想
低月齢(新生児~生後3ヵ月未満)の赤ちゃんの睡眠に欠かせないアイテムのおくるみやスワドル。
研究でも、おくるみをすることで、低月齢の深い睡眠(Quiet Sleep)の時間が長くなり、寝ている間の睡眠の状態が変化する回数が減ったことがわかりました。
Allison Dixley and Helen L. Ball,2002,The effect of swaddling on infant sleep and arousal: A systematic review and narrative synthesis
小さい赤ちゃんはお昼寝のリズムいっていにしたり、一人で寝る習慣をつけるというよりも、寝やすい条件を整えてあげて眠気に沿って眠る気持ちよさを知ることで、眠気に沿って入眠できるネンネ上手のベースができますよ。
ネンネ上手への一歩を助けるネンネアイテムが「おくるみ・スワドル」です。
おくるみ・スワドルが低月齢の赤ちゃんの必須アイテムな理由
モロー反射を止めてくれる
低月齢の赤ちゃんは、急な姿勢の変化や音の刺激でびくっと何かにしがみつく動作をする原始反射があります。
寝ている時も音の刺激は脳の届きますので、このモロー反射の大きな動きを止めてあげるとしっかりと覚醒せずに寝続けることができます。
手足のジタバタ不随意運動を止めてあげる
生まれたばかりの赤ちゃん、手をフワフワゆらゆら動かしていたり、足をジタバタしたり。
実はこれらは、無意識に出ている不随意運動の動きです。お腹の中でもキックやパンチを感じられていたと思いますがお腹でしっかりホールドしていました。
お腹の外に出たら急に、手や足が動いても「スカッ!」と宙を切ってしまい不安に。こうした動きをホールドしてあげると赤ちゃんは安心します。
ママのお腹の中の環境を再現できる
低月齢の赤ちゃんはまだお腹の外の世界に慣れていません。外界の刺激から守られて過ごしていたお腹の中では、手足がぎゅっと体の中心に集まった姿勢で過ごしていました。
でも、お腹の外にでたら、その姿勢になるために手足を自由にコントロール運動神経も、好きな姿勢を維持するための筋肉も発達していないのです。
自分の安心できる姿勢を作ってあげ、保持する役割がおくるみ・スワドルです。
おくるみ・スワドルは癖になる?
「癖になって大きくなってもとれなくなったらどうしよう」とご質問をいただくことがあります。
おくるみは自分で手足の動きをコントロールできない時期にジタバタを止めてあげる役割をします。
原始反射は、中枢神経系によって引き起こされるもの。より高次の脳が発達するとその動きを抑えることででなくなります。
つまり、脳が発達すると動きをしっかりコントロールできるようになりますので、おくるみは不要になります。
「原始反射はたくさんさせるとすぐに落ち着く。おくるみで止めると長く残る」
ということが言われたりするそうですが、それはありません。
生まれたばかりで脳が未発達の赤ちゃん、先回りの心配で眠れないより上手に使って親子ともに気持ちよい時間を増やしてネンネの時間を気持ちよい時間にしてくださいね。それがネンネ上手の第1歩になります。
おくるみ・スワドルの使い方・注意点
おくるみ布は背中側にしっかり折り込む。スワドルは大きすぎず体に合ったサイズを。
布やスワドルが大きいと顔が埋もれてしまう危険があります。またしっかりくるまれた状態にならず安心感も得られません。
スワドルと胸の間に指が2~3本入るゆとりをつくる
呼吸を妨げないゆとりが必要です。赤ちゃんが自分の手をモゾモゾ動かせる程度、赤ちゃんの首とのところから大人の指が2~3本差し込める程度のゆるみが必要です。
室温に合った厚さを選ぶ。温めすぎに注意
ママのお腹の中では赤ちゃんの方が少し体温が高く、常に体温を放散している状態でした。
睡眠に入る時は体温(脳温)を下げる必要があるため、身体からうまく熱が逃がせないとなかなか眠ることができません。
また、温めすぎは乳幼児突然死症候群のリスクを上げてしまいますので、温めすぎないように注意しましょう。
特に四角いおくるみ布を使う場合は、巻いた時の重なりごとに1枚多く着ていることになりますのでおくるみの下は薄着を意識してくださいね。
アメリカ小児学会による乳幼児突然死症候群のガイドラインの抜粋翻訳は「こちら」から★
下半身は自由に股関節を動かせるゆるみを作る。
下半身は緩く、股関節を動かせて足はカエルのようにM字の状態になるようなくるみ方や製品を選びましょう。
股関節を固定してしまうと股関節脱臼・股関節形成不全につながるので大変重要です。
おくるみ・スワドルの止め時・止め方
おくるみは、乳幼児突然死症候群の予防のために、仰向けに寝ている時に反り返る姿勢が出て寝返りの練習を始めたら卒業の時期です。
また、自分の拳を迷いなく口に運べるようになったら、両手を自分でコントロールできるようになったサイン。
もう手を押さえておく必要はありませんので卒業しても大丈夫。
止める時は「片腕ずつ慣れる」とのアドバイスもされることがありますが、身体の左右対称の動きを尊重してあげる方が早く落ち着くことが多いです。
もしおくるみを止めた時、眠る前の腕の動きが気になって眠れないようなら最初の3日だけはそっと腕を押さえてあげてもよいでしょう。
着るおくるみ(スワドル)のオススメ商品紹介
おくるみ用の四角い布は巻くのに少しコツが必要です。寝る前にジタバタ大騒ぎの状態から手早く包むのが難しければ、着るおくるみ(スワドル)がオススメ。
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親子ぐっすりでニコニコ育児を!
ご感想
赤ちゃんが「就寝してから朝の起床まで、夜通し眠れる日」を待ち望んでいる方も多いと思います。
赤ちゃんの「夜通し寝る」3つの条件は、
- 昼夜の区別がついて、夜は睡眠の時間になっている。
- 日中に1日に必要な栄養を摂れるようになり、夜に栄養を摂る必要がなくなっている。
- 寝言泣きや自然覚醒があっても、自力で再入眠できる力がある。
の3つ。詳しく解説していきます。
赤ちゃんの「夜通し寝」が月齢によって●時間と定義していることがあるようですが、夜の睡眠時間は体内時計で決まっていて、就寝から起床まです。その途中の時間で区切って「夜通し寝る」状態とは言いません。
その1.”夜”に睡眠がまとまるの(昼夜の区別)は、生後3か月頃
新生児から生後2ヵ月まで
1日を通して、起きてはミルク・授乳のみ少し遊んで寝る。を繰り返し、数時間連続で寝る時もあれば、20分で起きてしまうことも。
睡眠と覚醒が不規則に切り替わり、1日のなかで睡眠の時間と活動の時間のそれぞれのまとまりは感じられません。
昼夜の区別(体内時計が未熟)や睡眠と覚醒の規則性はなく、夜通し寝はまだまだ。
生後2か月前後
昼夜の区別(体内時計)がつき始め、1日の中で「睡眠の時間」と「活動の時間」の二つがなんとなく分かれてきます。
ただし、生後2か月では、まとまって寝る時間が日中になって、夜中に長く起きてしまう、昼夜逆転の状態(フリーラン)になる時期が一時的にあることがあります。
生後2か月ごろは、まだ昼夜の区別がまだはっきりしていなかったり、睡眠と活動の時間がうまく昼夜の時間に合わないことで、「”夜”通し寝」の状態にはならない子も多い時期です。
ちなみに、生後2カ月は、夜間授乳をせずに6時間以上眠れることも多い時期です。これはまだ睡眠サイクルが未熟なためです。
生後3か月以降、睡眠サイクルが発達して2~3時間おきに睡眠が浅くなって慌てる方も多い(睡眠退行期)ですが、発達としては問題ありません。生後2か月で夜中まとまって寝る時は、体重の増えが順調ならママもしっかり体を休めてくださいね。
生後3か月頃~
身体の働きを日の出・日没のリズムに合わせる体内時計(サーカディアンリズム)が発達し、大人と同じように、夜の時間にまとまって寝て、日中は短い睡眠(お昼寝)を挟みながら活動するようになります。
この昼夜の区別ができて、夜に身体が睡眠(休息)の時間となるという意味での「夜通し寝」は生後3ヵ月頃からスタートです。
その2.夜間授乳がなくなるのは、生後6ヵ月ごろから。
新生児~生後2ヵ月頃は夜も日中と同じ頻度で栄養が必要です。
夜間に栄養が不要となる時期はアメリカ小児学会ではかなりはっきりと示されており、
正産期に生まれた赤ちゃんで発達に問題がなければ、生後6ヵ月頃には夜栄養を摂らなくてもよくなる(母乳栄養ではもう少し後になることも)
としています。
つまり、栄養面で「夜通し眠る」が可能となるのは生後6ヵ月頃からということになります。
※もちろん、生後6ヵ月になる前に夜間授乳がなくなる子もいます。
個人差に注意!
生後6か月以降になったから夜間の栄養を親主導でなしにできるというわけではありません。
日中に摂る栄養の量や必要量は個人差が大きく、生後6ヵ月以降も夜間授乳が残ることも自然です。
ある研究では、生後6ヵ月児の約38%が夜通し眠れず、12ヵ月で夜通し寝ていない子は28%以下という結果も出ています。※
つまり、身体の発達として栄養を摂らずに朝まで『寝られる』ようになるの生後6ヵ月ごろからですが、生後6か月になったからといって、夜間のミルクや授乳を止めて「夜通し眠る」ことを目指すのは危険ですので注意しましょう。
★夜間断乳についてはこちらの記事「夜間断乳はいつから?日中の栄養~授乳ミルクの回数をチェック」をご確認ください。
赤ちゃんは動きながら&泣きながら「夜通し寝る」
体内時計が整い夜に睡眠の時間がまとまる+日中に1日に必要な栄養が摂れるようになったら、身体は夜通し寝ている状態になっています。
ただし、厳密には大人も子どもも、夜中何度も起きているので「夜通し寝」の状態はどのような状態かを知るのは大切です。
REM睡眠の仕組み
夢を頻繁に見るREM睡眠中は、身体の筋肉を動かさないよう神経ブロックが働いていて、夢の中での動作を実際にすることはありません。
ただし、赤ちゃんはこの「神経ブロック」が未熟なため、夢の中の動作が出てしまいます。
寝ていながら、動く・声を出す・泣くは赤ちゃんにとっては普通のこと。
大人が持つ「夜通し寝る」のイメージの「朝まで泣かず・動かず」は、赤ちゃんにとっては発達・生理的に難しく、動いていても寝ている状態のことも多いもの。
大人がイメージする「朝まで静かに寝ている」状態は赤ちゃんにとっては難しく、目指すものではありません。
自然覚醒の仕組み
夜中の睡眠は寝付いてから起きるまで、一定ではなく、いくつかの睡眠のステージに分かれています。
寝始めの数時間は深い睡眠のステージ。
寝ついて4時間後からは、90分~2時間おきに定期的にREM睡眠の浅い睡眠が出現して何度も「周囲確認の自然覚醒」があります。
この時、大人は、周囲を確認してはすぐ眠り、起きたことは記憶に残りません。
赤ちゃんがもし自然覚醒の後、自分で入眠できずに保護者を起こすまで寝付けない場合は、「入眠の癖」がついています。
この場合は、身体は「夜通し眠れる」準備は整っていますので、自分で眠る力をつけることで「夜通し寝る」状態になります。
生後3ヵ月以降の夜の睡眠構造
自然覚醒の後、速やかに眠りに戻る「自分で眠る力」をつけるためには、
「起きているうちにお布団に置いて自分で寝る」→Drowsy but Awakeの記事は「こちら」
スリープトレーニング(ネントレ)が有効です。→ネントレの記事は「こちら」
よく聞く「2歳になったら寝るよ」は?
経験的には2歳ごろからREM睡眠が頻繁に出てくるステージで頻回起きる傾向が減ってくる感じがします。だだし、その年齢になっても、「入眠の癖」がついていると、引き続き頻回起きが続くことが多いです。
「夜通し寝る」のまとめ
赤ちゃんが夜通し寝る時期は個人差が大きいです。早くから夜通し眠れる子もいれば、そうでない子も。
「夜通し眠れる」ことよりも、親子が健やかに毎日を過ごせる睡眠習慣をつけることに目を向けてくださいね。親子が睡眠不足にならないくらいの寝る力はどの子も持っています。
また、夜中も「目を覚ます」のが自然なので、目を覚まさないことを待っていると、その日はなかなかやってこないかもしれません。
目を覚ましても自分で眠る力をつけて、ママパパが夜中起きて寝かしつけをしなくても済めば「夜通し寝」ですね。
赤ちゃんの「夜通し寝る」3つの条件
①昼夜の区別がついて、夜は睡眠の時間になっている。
②日中に1日に必要な栄養を摂れるようになり、夜に栄養を摂る必要がなくなっている。
③寝言泣きや自然覚醒があっても、自力で再入眠できる力がある。
クークールナでは、
- 月齢やその子の発達に合わせた睡眠の目標設定
- 自力で寝る力をつけるためのトレーニングのサポート
- 栄養・スケジュール・運動の発達その子の寝る力を最大限に発揮する土台作り
など、日中の過ごし方から夜の睡眠までトータルに睡眠のサポートをしています。
『良い睡眠はよい活動から。良い活動はよい睡眠から』
どうぞお気軽にお問い合わせください♪
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ご感想
睡眠と栄養の視点から寝る前の母乳・ミルクのタイミングや止め時を整理します。
寝る前の母乳やミルクのタイミングや止め時に迷っている方。
1歳に近づいたらミルクを止めて牛乳に切り替えようかな?という声も聞かれますが、ちょっと待ってくださいね。
夜泣きを防ぐ寝る前の母乳・ミルクのタイミング
まずは、夜の睡眠を安定させる視点から、寝る前の母乳・授乳のベストなタイミングは月齢によって変わってきます。
生後3か月ごろまで
生後3か月ごろまでは睡眠は未熟で、浅い睡眠と深い睡眠が規則正しいサイクルにはなっていません。
この頃の赤ちゃんは、しっかりお腹を満たしてあげることが長く寝るためのポイント。
眠くなる時間が近づいたらルーティーン→寝る直前に母乳/ミルクで寝かせる感じもOKです❣
特に新生児~1か月の赤ちゃんは「飲む」ことで疲れて寝落ちることも多いでしょう。
※もちろん、授乳で寝落ちないなら、お口に何もない状態で寝付く習慣をつけるチャンス。授乳ミルクの後に、抱っこやトントンなどで寝かせてあげましょう。
<POINT>
低月齢では母乳・ミルクで寝落ちてOK。満腹にして長く寝てもらいましょう。
※授乳・ミルクの後寝落ちなくても、もちろんOK!
お腹いっぱいになった後抱っこやトントン。
「一人寝る練習」になります☆
生後3か月以降~
生後3ヶ月以降は体内時計がしっかりしてきて、睡眠サイクルも発達します。
空腹ではなくても睡眠サイクルが浅くなるタイミングで周囲確認の覚醒をするようになります。
「吸いながら寝る」を繰り返していると、「吸う」動作は半分寝ていてもできるくらい無意識の動作。ミルク・母乳を「飲む」ということが入眠の癖として強くつきやすくなります。
寝る前の栄養はとても重要ですが、体内時計が発達してくると「寝る直前の満腹」というよりは日中にとれた栄養の量で、夜間授乳の量(長く眠る時間の長さ)が決まります。
寝る直前の栄養でその後の連続睡眠時間は変わりませんので、寝る前だけミルクを足す必要はありません。日中のトータルの量を増やすことが大切です。
母乳ミルクの後、ルーティーンの別の活動を一つ入れる”眠いけど起きている”(Drowsy but awake)状態を目指しましょう。
<POINT>
覚醒時間を把握して先回り。
母乳・ミルクで寝落ちないのがベスト。
母乳・ミルクはルーティーンの最初の活動にする。
1人で寝る力を育む第一歩のDrawsy but wake (眠いけどしっかり起きている)については以下の記事をご覧ください。
栄養面からの寝る前の母乳ミルク(ベッドタイムスナック)
アメリカの小児科医睡眠会議(The Pediatric Sleep Council)では、生後6か月頃からは夜間の栄養が不要になる子もいるとしています。
つまり少なくとも10時間は栄養や水分を摂らずに過ごすことができるということです。When can he go all night without a feeding,The Pediatric Sleep Council
とはいえ、寝る前の栄養は、夜間、空腹を感じず過ごすためにとても重要。
特に子どもは飲まず食わずの状態の時間が長くなる場合には低血糖にも注意が必要です。
夕食から就寝まで90分以上時間が開く場合には、寝る前の栄養と水分の補給(ベッドタイムスナック)を。
また、夜間の母乳ミルクがなくなった後、それまでトラブルがなくても、
- 早朝に空腹で起きてしまう。
- 寝る前にお腹が空いて食べ物をねだる
などがある場合も寝る前の栄養を増やすのも大切になります。
<寝る前の栄養のポイント>
●1歳ごろまで●
寝る前に母乳・ミルクをしっかりと
(入眠の癖にならないようにタイミングに注意)
●1歳を過ぎたら●
母乳ミルクに加えてベッドタイムスナック
オススメのベッドタイムスナック
寝る前の栄養で大切なことは、
- 血糖値が急上昇しない。
- 少量でも栄養があり満足度が上がるもの。
繊維質が多く含まれるものは血糖値の急上昇を押さえます。また、たんぱく質脂質のバランスが良いものがオススメです。
<おすすめベッドタイムスナック>
- バナナのヨーグルト和え
- チーズ
- 全粒粉のパンやクラッカーにクリームチーズを塗る
- きなこバナナ
- 豆腐 など
牛乳への切り替えは要注意!
1歳に近づくとミルクや母乳を止めることを考え始める方も多いですが、特にミルクや母乳を止める必要はありません。むしろ続けるメリットの方が大きくなります。
“離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳又は育児用ミルク以外の食物から摂取できるようになった状態をいう。その時期は生後12か月から18か月頃である。食事は1日3回となり、その他に1日1~2回の補食を必要に応じて与える。母乳又は育児用ミルクは、子どもの離乳の進行及び完了の状況に応じて与える。なお、離乳の完了は、母乳又は育児用ミルクを飲んでいない状態を意味するものではない。”~—厚生労働省,授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
牛乳は1歳までは飲ませない
米国小児学会では、1歳まで牛乳は与えないこととしています。その理由は、
- 牛乳にはたんぱく質やミネラルが多く含まれて1歳未満の赤ちゃんには消化できず負担になる
- 鉄分やビタミンC、成長期に必要は脂肪分など必要な栄養素が不足している
の二つが挙げられています。
1~2歳までの牛乳の注意点
しっかりとバランスよく食事から栄養(特に鉄分)が摂れるようになったら、少しずつ取り入れてもOK。
ただし、脳の発達に必要な脂肪分を牛乳には十分に含まれていないため、2歳の誕生日までは1%(低脂肪)または無脂肪(脱脂)牛乳を与えないこととされています。
夜間、授乳やミルクなくしっかり眠る準備は思っているより早く進んでいるかもしれません。夜中ぐっすり眠れる睡眠のベースと寝かしつけの習慣を作ってくださいね。
クークールナでは、
- 夜間断乳・ミルクのタイミングや方法へのアドバイス
- ネントレの準備から定着までのサポート
- 夜間授乳を残しながらの睡眠の安定
など、お子さまに必要な栄養を考えながら健康な睡眠習慣を作るお手伝いをしています。お気軽にお問合せ下さい☆
ご感想
赤ちゃんの寝具は、保護者とお布団をならべての添い寝、ベビーベッド、お布団をサークルで囲うなどのパターンが考えられます。
さらに親子同室と一人部屋の選択肢もありますね。
それぞれの寝室のスタイルについて、安全面・夜泣きの視点からメリット・デメリット、取り入れられるネントレメソッドを整理しました。
寝返り、つかまり立ちでベビーベッドの使用を止める方も多いですがメリットもたくさん。
入眠の癖による夜泣きは、癖の付きやすさや親の感じ方には個人差が大きいので、親子が安心安全に、ぐっすり眠るためのご家庭に合ったネンネスタイルを選択してくださいね。
まずは赤ちゃんの寝床の最優先事項
一番大切なのは安全。親の目が届かない時間が長くなる就寝時は安全を満たしてこその安眠です。
乳幼児突然死症候群のリスクには十分注意しましょう。赤ちゃんの寝床は特に1歳以下では注意が必要です。
①枕、掛布団、ぬいぐるみ、タオルなど、柔らかいものは入れない。(赤ちゃんの寝具はおくるみまたはスリーパーです)
②ベッドバンパー、大人用のベッドに後付けするベッド柵は使わない。
③ベビーベッドやお布団は赤ちゃん用の安全なものを使う。
その他、乳幼児突然死症候群(SIDS)のガイドラインは以下をご確認ください。
パターン1.ベビーベッド/お布団をサークルで囲う+親子同室
親子同室ですが、赤ちゃんのネンネスペースが親の寝るスペースに物理的な境界がある状態。お互いに独立していることでのメリットがあります。
乳幼児突然死症候群のリスクが軽減でき、睡眠と入眠の癖(親の介入の関連付け)が付きにくく、癖を取る時(トレーニングなど)で取りやすいのがこのスタイル。
メリット
- 乳幼児突然死症候群のリスクが低い。
- 子どもの様子が確認しやすい。
- 入眠の癖がつきにくい・取りやすい。
デメリット
- 夜間授乳が頻繁な時期はちょっと大変。
- 幼児期に親と寝たがり習慣を一時的に変える必要は出てくる可能性がある。
導入できるトレーニング(ネントレ)
- 段階的消去法(ファーバーメソッド・タイムメソッド/目標の寝方で一貫する方法)
- チェアメソッド(フェードアウト・SLS/少しずつ離れていく方法)
- 見守りネンネ (寝つくまで側で見守る方法)
パターン2.サークルなしお布団+親子同室(川の字でネンネ)
親子同室で、親子の間に物理的な境界がないスタイルです。
子どもはゴロゴロ保護者のところに来れるので、親の掛布団や枕など乳幼児突然死症候群のリスクが上がりやすくなったり、入眠の癖がつきやすいので注意が必要です。
低月齢では夜間授乳やおむつ替えなど夜中のお世話が楽になりますし、すぐに子どもの様子が分かるので安心です。
メリット
- 夜間のお世話がしやすい。
- 子どもの様子が確認しやすい。
- 幼児期を過ぎてもネンネのスタイルを維持しやすい。
デメリット
- 入眠の癖がつきやすい。
- 乳幼児突然死症候群のリスクが上がりやすい。
導入できるトレーニング(ネントレ)
- 段階的消去法(ファーバーメソッド・タイムメソッド/目標の寝方で一貫する方法)
- 見守りネンネ (寝つくまで側で見守る方法)
※寝室全体を安全な状況にすれば、寝かしつけを段階的消去法でセルフネンネの習慣を目指すことも可能です。
パターン3.ベビーベッド、サークルあり・なし+親子別室(一人部屋)
保護者と子どもが別室で寝るスタイル。
子ども部屋ではベビーベッド、サークルのあるなしにかからずお布団で。安心して子どもから離れて眠れるよう、ベビーベッドやサークルを使用しない場合は、お部屋全体の安全を確保する必要があります。
しっかりと独立した睡眠環境ができるため、親子ともにお互いの睡眠を邪魔せず眠れます。
ただし、親子別室は乳幼児突然死症候群のリスクから1歳まで(少なくとも生後6カ月まで)は親子同室で独立した寝具で眠ることが推奨されていますので注意してくださいね。
メリット
- 入眠の癖がつきにくい・取りやすい。
- 親子お互いの寝言や寝返りで睡眠を邪魔せずぐっすり眠りやすい。
デメリット
- 夜間の子どもの変化に気が付きにくい。
- 夜のお世話がしにくい。
- 幼児期に保護者の部屋に来たがる、夜を怖がるなど一時的に習慣が崩れる可能性がある。
導入できるトレーニング(ネントレ)
- 段階的消去法(ファーバーメソッド・タイムメソッド/目標の寝方で一貫する方法)
- チェアメソッド(フェードアウト・SLS/少しずつ離れていく方法)
- 見守りネンネ (寝つくまで側で見守る方法)
大人のベッドで添い寝はご注意ください。
大人のベッドでの添い寝は、転落や親の寝具が赤ちゃんにとっての危険が大きくなります。
大人用のベッドにつけるベッド柵は、赤ちゃんの体重の重みで柵とベッドの間に隙間ができ挟まれる事故も起きていますので使用できる月齢が決められています。
また、「まだ、小さい赤ちゃんで動けないから」と思わず、安全な寝床を準備してあげましょう。
日本小児学会-Injury Alert(傷害速報)『No.070 ベッドガードとベッドとのすき間で発生した窒息』
クークールナでは、
- 出産前の寝室の準備
- お子さまの睡眠のトラブルの原因の特定
- お子さまの睡眠の安定へのステップ
- 適切なトレーニングをメソッドの選択とサポート
など、ご家族みなさんが健康的な睡眠をとるためのご相談をお伺いしております。お気軽にお問合せ下さい。
ご感想
泣いて起きる、起きた後グズグズが続く「起きぐずり」。
泣いて起きるのは寝足りていないからとは限りません。寝足りないと思って、もっと長く寝るように寝かしつけを頑張りすぎたり、次の寝貸し付けまでの覚醒時間を短くして寝かしつけを大変にしてないでしょうか?
「起きぐずり」の原因や対策をご紹介します。
泣いて起きる・グズグズが続く原因
原因1 寝足りない
お昼寝が20分以下の場合は、睡眠サイクルが1周する前に起きてしまっている可能性があります。
特に深い睡眠の途中などで覚醒してしまっていると、疲れがとりきれておらず眠気が残りグズグズしやすくなります。
また朝、体内時計の起床時間を迎える前の「早起き」の場合は、まだ身体が起床の準備(心拍数や体温が上がらない。コルチゾール分泌量が上昇しない)ができていないために、眠い・体が重いという状態になっている可能性があります。
原因2 寝足りているのに眠気が続く「睡眠慣性」が強い
十分寝ているのに強い眠気が続く状態を「睡眠慣性(sleep inertia)」といいます。眠気が続いて運動や認知能力が下がってしまうこともあります。
睡眠慣性を感じる理由は諸説ありますが、睡眠慣性がある時の身体の状態は、
- 深い睡眠中に出る脳波(デルタ波)が残っている
- 睡眠で減るはずのアデノシンの値が高い
- 脳の血流が低いままになっている
という状態であるといわれています。
つまり、まだ覚醒の準備ができていない時に起きてしまい、身体が覚醒しきれていない状態になっているのです。
起きぐずり予防法
起きぐずりを防ぐためには、しっかり眠気が取れた状態で、睡眠が浅い状態から起きることが重要!
<起きぐずり予防法>
①疲れすぎないで寝る
適切な覚醒時間で寝るということはもちろんですが、
- 朝寝・昼寝など、それ以前の睡眠の長さが短く終わりすぎていないか
- 夜の睡眠がしっかりとれているか
が大切。
特に、夜泣きや早朝起き、夜間の長時間覚醒などのトラブルが慢性化して、夜の睡眠が足りておらず、睡眠不足になってしまうと、睡眠不足を解消しようとお昼寝でも長く深く寝すぎてしまい、眠気が残りやすくなります。
②深い睡眠中に起きないように注意
突然の物音を緩和できるようにホワイトノイズを活用しましょう。
起こすときは、ゆっくり深い睡眠から浅い睡眠に移行する時間を作る感じで時間をかけましょう。
③睡眠中の室温を適温に
暑い中で眠るとスムーズに体温を下げられず睡眠の質を下げて、起きた時の疲労感につながります。
また入眠時は体温を下げやすくするため涼しい環境を、浅い睡眠でスムーズに目覚めをよくするためには、起床前は体温を上げやすいように暖かめにするのも効果的。
特に冬は暖房のタイマーを起床前に合わせ室温を少し上げておくと眠気が取れやすくなりますよ。
④穏やかに入眠
ルーティーンをして心身ともに睡眠の時間を意識して寝付くことは、睡眠の質を上げて浅い睡眠で穏やかに起きやすくなります。そのためにも疲れすぎる前にルーティーンを落ち着いてできるタイミングを見つけるのが鉄則。
体内時計を整えて、覚醒時間を知っておくことがポイントになります。
起きぐずりの対処法
対処法1 寝足りない時
30分程度で起きてしまって眠そならすぐに再入眠をトライ。寝かしつけ方法はなんでもOKです。
しっかり眠気の波が遠のく前に再入眠をトライしましょう。10分程度続けても寝ないなら眠れるだけの睡眠圧が溜まっていない証拠。何時間も続ける必要はありません。
次の覚醒時間を目安に一度起こしてから寝かしつけをしましょう。
対処法2 寝足りている「睡眠慣性」の時
お昼寝が普段通りもしくは1時間以上しっかり眠れた時や、睡眠サイクル1周分(30~40分程度)寝た後は、睡眠圧が下がって再入眠は難しいことも多いです。
そんな時は、気分転換!
例えば、
- 楽しい音楽を聴く
- おやつを食べる
- お外の風に当たる
- ちょっと体を動かす運動など
で、覚醒度をUPしましょう♪
参考)Sleep Inertia,Sleep Foudation,
クークールナでは、
- 月齢・お子様のリズムに合ったスケジュールの提案
- 快眠のための睡眠環境
- 夜の睡眠トラブル・早朝起きの改善
など、お子さまの睡眠に関するお悩み解決のお手伝いをしております。お気軽にご相談ください♪
ご感想
寝ている赤ちゃんの手足が冷たい!びっくりして慌ててお布団をかけたくなりますが、ちょっと待って。手足の冷えは暑い?寒い?のサインにはならないことも。
赤ちゃんが感じている、暑さ、寒さの見分け方をご紹介します。
赤ちゃんのネンネの環境・室温の目安
赤ちゃんのネンネの環境が必ず「涼しめ」を意識してくださいね。赤ちゃんは暑さに弱く、眠れないだけではなく、乳幼児突然死症候群のリスクとして「暑すぎること」が挙げられています。
室温の目安は、以下の表のとおりです。
室温 | 着せるもの目安 | |
夏 | 22~24℃ | 半袖肌着・半袖上下 |
冬 | 18~20℃ | 半袖肌着・長袖ロンパース 6重ガーゼスリーパー(厚さの目安:2.5tog) |
寝る時は「涼しめ」が適している理由
赤ちゃんに限らず大人にも睡眠の環境として適しているのは“涼しめ”。
理由① 寝る時の体温の変化
眠る時は体温(脳温)下げ深い睡眠に入っていきます。
入眠の際は特に、スムーズに体温を逃がしやすくすることが安眠につながりますよ。
特にねんねの時は、「冷えないように」と、普段よりも多く着せたり掛けたりしてしまいますよね。
寝ている時は特に「大人より一枚少なめ」を意識してくださいね。
季節による室温設定
【冬】室温を暖かめ(18℃前後)にして薄着が安心
欧米では18度以下は赤ちゃんを着せすぎてしまうためこれ以下の室温はネンネに適さないとされています。
【夏】室温を涼しめにして、少し着せるくらいが安心
熱中症の危険の指標となる暑さ指数(WBGT)での危険度が高い日、室温・湿度を調整しましょう。
日本国内の暑さ指数(WBGT)は環境省ホームページで確認できます。
理由② 赤ちゃんは体温調節の機能が未熟
赤ちゃんはママのお腹にいる時、赤ちゃんの体温の方がママの体温よりも高い状態になっていました。
そのため、熱を逃がすことは特に不得意なまま生まれてきています。体温調節が未熟で、大人よりも新陳代謝も活発で暑がりな赤ちゃん。
乳幼児突然死症候群のリスクを下げるためにも決して温めすぎないように注意してくださいね。
手足が冷えは寒いとは限らない!暑い寒いの見分け方
身体の体温の変化を知っておこう。
体温は1日を通して日中の活動の時間には高く、睡眠中は低く変化しています。
夜は体温が低くなるように設定され(体温セットポイント)、特に寝始めは、体温(脳温)の温度を下げようとしています。
そして、早朝に1日の最低体温になり、その後は起床後の活動のための高めの体温設定になり、活動に合った体温に向けてどんどん体温を上げていきます。
体温調節の仕組みと手足の温度
体温調節をする時、身体の毛細血管の血流の量を変化させています。
【暑い場所にいる時・寝る前】現在の体温が身体の体温のセットポイントより高い時
手足の毛細血管が広がり体温を外に逃がそうとしています。手足はポカポカ。
胸や背中、体幹に近いところも熱くなり汗をかいています。
暑い環境、活動していた時間から睡眠に入る寝始めの時間帯や、高熱が出た時に熱が上がり切った時の状態で暑いと感じています。
【これ以上体温を下げる必要はない時】現在の体温と身体のセットポイントが同じ時
手足の毛細血管は収縮(冷えている)してこれ以上熱を奪われないようにします。
手足は冷えていても、背中や胸などの体幹はポカポカ。快適です。
寝始めの深い睡眠が終わった頃(寝ついて3~4時間後)からは手足の暑さも落ち着いて冷え冷えでも快適タイム。
【体温を上げたい時】寒い環境や体温がセットポイントよりも下にある時
手足の毛細血管は収縮(冷えている)しています。胸や背中など体幹も普段よりひんやり。震えなどもあるかもしれません。
寒い場所では体温を奪われないようにし、さらに身体の熱の産生を促します。
早朝、起床の活動に向けて体温を上げていくとき、体調不良での熱の上がり始め、身体が熱で感染症と戦おうとしている時も、体内のセットポイントよりも現在の体温が低い状態となるため、寒気を感じやすくなります。
まとめ
- 赤ちゃんは暑さに弱い。涼しめが重要
- 寝始めは、特に体温を下げようとする時間。涼しめが安眠につながります。
- 体温がある程度下がった寝付いて4時間後以降は手足が冷え冷えでも快適かも。体幹が温かければ寒がっていない可能性が高い。
寝始めからどうしても着せすぎてしまうのは、赤ちゃんのネンネのスタートは、保護者の入眠の時間よりも早いため、親の体温のセットポイントはまだ低くなく「暑い」と感じにくいこともあります。
子どもは、大人より早く寝始め体温を下げる必要があり、さらに代謝も活発で暑がり。
SIDS(乳幼児突然死症候群)予防のためにも、”涼しめ”を意識してくださいね。
参考)中山昭雄,1977,体温セットポイント,医用電子と生体工学,15- 3, 157-163
睡眠のベースの項目はこちらをご覧ください
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ご感想
ネントレにはいくつか方法がありますが、今日は「ベッドタイムフェイディング(Bedtime Fadeing/Faded Bedtime with Response Cost)」日本語では「睡眠制限法」というネントレメソッドをご紹介します。
※フェードアウトメソッドとは違いますのでご注意くださいね。
フェードアウトメソッドは、いわゆる”泣かせるネントレ”と呼ばれる段階的消去法(Graduated Extinction)の一種で、チェアメソッドやスリープレディーシャッフル(SLS)と呼ばれる方法を愛波文氏が著書のなかで名付けたものです。
ベッドタイムフェイディングの特徴
ベッドタイムフェイディングも段階的消去法(ファーバーメソッド)と同じように、親の介入がなく自分で寝付く経験をしながら、眠くなるたび、夜中覚醒するたびに親を起こすことなく自分で眠る力を育む方法です。
ファーバーとは違い、泣いていたり寝ない時間を制限して「あやす」ということをしながら自分で寝落ちるチャンスを作ります。そして、夜の最初に寝つく時に自分で眠るようになることで夜中の覚醒も減っていくことを狙うメソッドです。
このメソッドで改善が見込める「夜泣き」タイプ
ベッドタイムフェイディングは、寝かしつけの時に授乳や抱っこなど、親の介入「入眠の癖」が原因の夜泣きの改善のために用いられるメソッドです。
入眠の癖が原因の夜泣きは、例えば、
①寝かしつけに時間がかかる(寝たと思って置いたら起きてしまい、また寝かしつけの繰り返し)
②夜中何度も覚醒してその度に寝かしつけが必要
③早朝の浅い睡眠で親を呼んでいる間に起きてしまい再入眠できない
などがあります。
ベッドタイムフェイディングの方法
①普段、寝付く時間に「おやすみの言葉」をかけてお布団に置きます。(たとえば20:00)
②この時に泣いても授乳や抱っこなど辞めたいと思っている「寝かしつけ」をせずにお布団に置き15分待ち、15分寝なかったら寝室を出て、あやして気分を落ち着かせます。
③最初の寝かしつけから1時間後、再度「おやすみの言葉」をかけてお布団に置きます。(21:00)
④15分以内に寝付けなかったらお布団から出して、さらに1時間後に寝かせます。(22:00)
~15分以内にお布団の上で寝るまで繰り返します~
⑤次の日の就寝も同じように15分以内で寝るまで繰り返します。
⑥少しずつお布団の上で寝付くことを覚え、普段の就寝時刻に近づいて眠れるようになります。
ベッドタイムフェイディングの注意点
あやしている最中に寝かせない
15分寝ないため寝室を出た後、あやしている最中に寝ないようにすることがとても大切です。
ベッドタイムフェイディングの目的は、一人で眠る経験をしてもらい一人で眠るスキルを身につけることなので、あやしている最中に寝てしまうと目的が達成できません。
前日夜の寝不足を次の日の遅起き&お昼寝で補わない
トレーニングが始まると就寝時間がかなり遅くなることが予測できますね。
でも、次の日の朝は普段通りに起こし、日中のお昼寝の長さも普段通りで過ごします。
そうすることで、夜の寝かしつけの時に「寝ないで頑張る」ができないように眠気を高めておくことが大切です。
ベッドタイムフェイディングの準備
ベッドタイムフェイディングを成功させるためには、他のネントレと同じように準備がとても大切です。
①寝室環境を安全に快適に整える
②就寝前のルーティーンを確立させておく
③体内時計(起床就寝)とお昼寝リズムを一定にしておく。
特に、③の体内時計整え、お昼寝によって就寝時刻を調整することが最重要。
眠気が高まる前に寝かしつけをスタートしてしまうと、その分眠れない時間が増えて、なかなか効果が現れません。
この方法が合っているタイプ
月齢
体内時計が整い、お昼寝のリズムが安定し始めた生後6~8か月以上。特に、寝かしつけに親の介入が多くても、夜中の頻回起きが落ち着いてきた幼児さん向けのメソッドです。
性格・性質
分離不安が強かったり、親が泣いている時間をどうしても見守ることができない場合に向いているといわれています。
このメソッドの難しさ
理由① 体内時計、生活リズムが崩れやすい
ベッドタイムフェイディングを実際に取り入れることは限定的です。
なぜなら、「起こしておく」がとても難しいのです。寝不足でぐすりがひどくなったり、ふとした時に寝てしまうと就寝時刻に眠気がたまっておらず、寝つきづらくなりメソッドの効果が得られず、ずっと就寝時間が遅いままで寝不足が続いてしまいます。
寝かしつけの癖を取れないだけでなく、体内時計まで崩れかねません。健康的な習慣をつけるために不健康な状態が続くのは本末転倒になってしまいます。
理由② 夜中の覚醒への効果が出るまで時間がかかる。
夜中起きてしまったとき、寝かしつけと同じように15分寝付かなったら「起こしておく」ということが夜中はできません。そのため、就寝の時は一人で眠れるけれど、夜中覚醒したり泣いた時には、寝かしつけが必要な「再入眠の癖」が残りやすいメソッドになります。
まとめ
ベッドタイムフェイディングは、段階的消去法のバリエーションとはちょっと違う考え方のネントレメソッドです。
眠気を味方にしたメソッドになりますので、体内時計(起床就寝)と生活リズムを整えることが、成功への近道になりますよ。
準備がしっかりできない状態でのメソッドのスタートはしない。
メソッドをスタートしたのに、うまく進まない時は早めにストップしてくださいね。
どのようなメソッドでも3日で改善の実感がない場合は、準備ややり方が間違っているサイン。
頑張りすぎないようにしましょう。
クークールナでは
- お子さまの睡眠トラブルの原因と改善に必要な方法や進め方
- ご家庭やお子様に合ったネントレアレンジ
- お子さま自身の体内時計やネンネリズムを見つけたスケジュール調整
- ネントレ準備から定着までのサポート
- ネントレの不安や睡眠についての疑問の解消
など、お子様のネンネトラブルをトータルでサポートしております。お気軽にお問合せください
参考資料)小児の睡眠問題に対する行動科学的アプローチ羽山 順子, 津田 彰,2011.雑誌名久留米大学心理学研究,10:150-158
ご感想
寝る前にひと泣きする赤ちゃんは多いです。少しでもスムーズに気持ちよく寝て欲しいものですね。
寝る前に何を考えているか、寝落ちる瞬間の心理や頭の中はどうなっているかを調べると、そのヒントが見つかりましたよ。
覚醒と睡眠の間の移行の時間の研究では、脳波を継続しながら入眠時の脳波の変化を見ながら、特定の脳波が出た時に起こして何を感じていたかを聞くという研究方法があります。
この研究から、覚醒~入眠の時間の間にも脳波の変化がありそれぞれのステージでどんなことを感じているかがわかってきました。
今日は睡眠と生理心理学の研究から推測されていることをシェアします。
ルーティーンの内容や効果についても納得するはず!
寝る瞬間の頭の中は…
寝る瞬間、頭の中で感じる、頭の中で浮かんでくる感覚を「心像」といいます。(夢のようなものと思ってください。)
覚醒から入眠までの「心像」を記録していくと、人が感じる感覚の『五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)』の中でも、視覚に関するものが多くなっていました。
覚醒から深い睡眠に入っていく過程をさらに細かく追ってみます。
お布団に入りまどろみ~ウトウト段階
目を閉じてすぐの最初の段階では、知っている人や風景など具体的な映像を多く見ています。
何かを思い出している感じ。知っているものや風景について抱く感情も感じていることでしょう。
浅い睡眠~深い睡眠への移行段階
深い睡眠になり脳波が活発になる部分が、脳の前→頭頂部→後頭部に移行していきます。
この時は、知らない人、色や静物物質などの象的な映像を見ていることが多くなり、深い睡眠の夢へとつながっていくといわれています。
起きている時は外の刺激に対して注意を向ける脳の注意機構の活性が、心像が出現している時の方が低下していました。
つまり、起きている時は外の世界に向けられていた注意機構が心像に向けられることで、外界への注意の配分容量が減少し深い睡眠に入りやすいことが分かりました。
寝る瞬間の「心像体験」に影響する2つの要素
❶入眠前に見た映像
入眠前に心地よい映像(静止画)を見るとウトウト期の心像体験が心地よいものになります。
ただし、不快な映像を見たからといって心像体験になるわけではないとのことです。
❷入眠直前の感情や状態
ポジティブな感情はネガティブな感情よりも入眠をスムーズに深い睡眠を促進する効果が示唆される研究が多くあります。
ただし、ポジティブな感情(楽しい・嬉しいなど)でも強い感情は入眠を邪魔することも。
まとめ~「寝る前の重要ポイント」
入眠前後は、頭の中で視覚的なイメージが現れて、視覚の刺激と感情が大きな役割を果たしていることが分かりました。
入眠前に行う「ルーティーン」はこうした刺激や感情をコントロールするためにとても大切な時間となりそうですね。
❶ネンネルーティーンに取り入れたい「絵本」
寝る前の活動は穏やかな気持ちとイメージが持てる活動を。特に視覚的な刺激は重要。
ママやパパの優しい声で穏やかな絵本を読むことは、入眠後の心像体験を心地よいものにし入眠に効果がありそう。
❷楽しくても嬉しくても、興奮はNGちょっと退屈くらいがちょうどいい!
寝る前にパパの帰宅でとっても嬉しくなってしまう!や寝室に移動したら気分が変わってきょうだいと大騒ぎ!は寝かしつけのお困りごとで多いですが、要注意です。
この記事の参考資料)H.TANAKA, T.Iwaki,2021,Significance of Psychophysiological Methods in Studies on Sleep Onset and Nine EEG Stages,生理心理学と精神生理学39(1)4−18,2021
クークールナでは、
- 寝かしつけに時間がかかる
- ネンネルーティーンをする前に寝てしまう。(起こしてルーティーンをしている)
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